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悩ましきレジ袋

おかぼん

 環境省は2020年度よりレジ袋の有料義務化に踏み切るようだ。海洋でレジ袋を飲み込んで死んでいる鯨が見つかったというショックなニュースなどを見るともっともだという思いもするが、何かおかしく思うのは私だけだろうか。

 レジ袋を無料で何枚配ろうが、プラスチックゴミとして正しく廃棄したものを焼却場が正しく処理していれば、このような問題は理論上起こりえない。台風の暴風雨で吹き飛ばされたり、また先の震災のような大津波で流されたりすれば別であるが、それは非日常の出来事である。

 だとすれば、このような問題が起こる一番の原因は不法投棄である。もちろん、全体量が減れば不法投棄される量も減るであろう。従って効果がないとは言わないが、もっとも先に手を付けるべきは不法投棄の撲滅である。

 1円、2円の金銭を負担させてレジ袋を有料化させたところで、これからどれだけの効果があろう。そんなことはないとおっしゃる方は、すでにレジ袋辞退を実践されている方である。これから削減すべき分は今まで何も行動しなかった方の分である。

 主にコンビニでの効果が期待されているようだが、コンビニはちょっと立ち寄ったついでに買うケースが多い。今は「レジ袋要りません」と言うと店名入りのテープが貼られ、商品はそのままポケットや持参の袋に入れて店を出るのだが、万引きの取り締まりが微妙になることも十分に予想される。

 一層のことレジ袋を再利用できる立派なものにして、数十円くらい取ったらどうかという意見も聞くが、ちょっと携帯し忘れた数百円程度の買い物に、その都度、数十円も取られて再利用できるものを買わされたのでは新たなごみ問題を生む。

 忘れるのが悪い。不法投棄などもってのほか。ごもっともである。しかし、そう言われる方に聞いてみたい。まさか雨は降らないだろうと天気予報も見ずに外出し、突然のにわか雨にビニール傘を買い求め、うっかり電車の中などに置き忘れた経験はないだろうか。きちんと廃棄処分されていることと信じたいが傘の置忘れも、見方によれば大きなビニール製品の立派な不法投棄である。