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働き方—―痛勤解消の視点から

おかぼん

 朝、ニュースを見ていると「武蔵野線が人身事故で運転見合わせ」とのこと。まだ、6時過ぎなので、事故処理が順調に進めば家を出る頃にはきっと運転再開していることであろう。結果は予想通り運転再開、しかし大幅な遅れは免れない。最寄り駅に着くとまもなく電車がやってきた。かなりの混雑でこのままいつもの経路で移動すれば、会社に着く頃にはクタクタになってしまうだろう。結局1本見送って、南流山から振替乗車でつくばエクスプレス、北千住から東京メトロに乗り継ぐことにした。これだと流山までのJRとつくばエクスプレスさえ辛抱すれば、北千住からの東京メトロは始発で座って行ける。結果、ほぼその通りになったが日比谷線の遅れは想定外で、会社には数分遅れて到着した。

 私の通勤経路は、やや遠回りとはなるが比較的空いているルートを選択できるため、始発に乗るのを止めたり、快速に早めに乗り換えたり、振替をうまく活用することにより、大抵は始業時間に間に合うが、今回も含めて月に1度程度は数分遅れ、年に数度は荒天等により30分近く遅れることもある。他に選択するルートがない人の苦労が忍ばれる。

 しかし他の社員を見ていると、どうも私の遅れる頻度が多いように思っていたところ、日本経済新聞に「首都圏鉄道、隔日で遅延」「中央・総武線は平日ほぼ毎日」という見出しで記事が出ていた。実は私は途中からこの中央・総武線に乗り換えているのである。何と平日20日中、19.1日遅れているという。もちろんワースト1である。必ずしも私の乗る時間、区間で発生しているわけではないから毎日ではないにしても、頻度は多いわけである。並行して走っている横須賀線・総武快速線はワースト5であった。

 ところでどうしてこの中央・総武線がワーストになるのか。理由は秋葉原での乗り換え客が多いため停車時間が長くなるので、これ以上本数を増やせないためらしい。上野東京ラインを秋葉原に停車させなかったのも、その長い停車時間をこれ以上長くさせたくなかったためとも言われている。

 まもなく春闘本番で労働条件改善を目指して労組は頑張るわけであるが、都内の労働者にとってこの通勤(痛勤)は労組の頑張りではどうにもならない問題である。毎日遅刻はできないからと毎日30分早く家を出てる人は、遅刻は解消しても時間換算で年間120時間の自由を労働に拘束されるのだから、3%の賃上げよりも痛勤解消の方がはるかにありがたいはずである。