月刊ライフビジョン | ビジネスフロント

ふしぎな初夢

おかぼん

 Suicaが導入されたのが2001年、PASMOが2007年、いつの間にか電車やバスに乗るのにICカードを利用するのが当たり前になってしまった。周りを見渡せば自動券売機の数は目に見えて減り、自動改札機もICカード専用機が増えている。便利になったばかりではない。JRではICカード利用可能相互区間は切符を買っても途中下車ができなくなった。そもそも途中下車をする人はそう多いわけではないので、大きなデメリットとは言えないが。

 交通系ICカードに限らず電子マネーやクレジットカードなど、最近は現金以外でモノやサービスを購入する機会が増えた。とはいえ、日本ではまだ2割程度らしい。お隣の韓国では9割がカード決済だというから驚きだ。

 年が明ければ初詣に出かける人も多い。日本経済新聞によれば、愛宕神社(東京都港区)では1月4日限定で、なんと賽銭を電子マネーで受け付ける賽銭箱(読取り端末)を設置するらしい。木造の本殿に合わせて厳かな木箱で包まれているこの賽銭箱、利用方法は投じる賽銭の金額を入力して端末にタッチするだけとか。小銭がなくても好きな金額を出せるのが売り? という。

 さすがに、こんな端末を大勢の参拝者のある大きな神社になど設置はできないだろう。あるいはそんな賽銭箱では参拝した気分になれないという方も多いのでは。

 でもそんな考え方はまだ甘いだろう。大きな神社は境内入り口の鳥居の前にずらりと電子マネー賽銭箱を置き、拝殿前ではすでに賽銭を納めた参拝者を優先して参拝させるとか。

 寺院などでは昔から、1回参拝すると100回参拝したのと同じ御利益のある功徳日はざらで、なかには46000回分の御利益がある功徳日もあるのだから、電子マネーで納める参拝者には95円で100円分の御利益を与えるとか、当然、ポイントで賽銭を納めるというのもありだろう。

 それにしても御利益、功徳、電子マネー、たくましき商魂は科学と非科学もアウフヘーベンしてしまうのだろうか。