月刊ライフビジョン | ビジネスフロント

物価高騰下での春闘に期待する

おかぼん

 消費者物価の上昇が止まらない。1月20日に総務省が発表した昨年12月の前年同月比上昇率は4.0%となった。因みに一昨年12月の上昇率は僅か0.8%であった。

 このインフレが景気の過熱によるのであるならやむを得ないが、輸入物価上昇によるコストプッシュ型インフレであるから始末が悪い。

 輸入エネルギー価格の高騰により、ガス代は23.3%、電気代は21.3%と異常な上昇になっている。また、輸入食料の高騰によって、食料の中でも、油脂・調味料は10.2%、穀類は9.6%、乳卵類は9.0%の高い上昇となっている。

 それでも消費者物価上昇率が4.0%に止まっているのは、比較的ウェイトの高い住居費が1.2%の上昇、中でも家賃は0.1%の上昇、交通・通信費全体で2.1%の上昇、中でも交通費が0.8%、自動車等関係費が0.7%の上昇に止まっているからだと言える。

 しかし、これらも年度末を迎えて、契約更新時に家賃が上がることも予想され、交通費も鉄道会社の運賃値上げが予定されている。食品も毎月のように食品会社より値上げが発表されており、今後一段の物価上昇が見込まれる。

 そのような中でいよいよ春闘を迎える。政府が賃上げを要請する中で、経団連は連合が物価上昇を念頭に22年の4%を上回る水準を出したことに一定の理解を示しつつも、近年の実績と大きく乖離しているとして上げ幅では慎重な立場である。

 しかし、そのように賃上げに慎重であり続けた結果、他の先進国に比べて見劣りする賃金水準になっている現実から目を背けてはならない。同時に、今年は連合の掲げる5%を勝ち取ったとしても、物価上昇で帳消しにされそうな情勢である。

 昨年11月の毎月勤労統計調査による実質賃金の前年同月比3.8%減となった。この数字の責任の一端は組合にもあろう。昨年6月の雇用者に占める組合加入者の割合は16.5%まで落ち込んで過去最低である。今年の春闘は組合の踏ん張り処である。