月刊ライフビジョン | ビジネスフロント

ポストコロナは悪性インフレ?

おかぼん

 月が変わると一斉に食料品の価格が上がる。いや食料品だけではない。さまざまなモノの価格が上がる気配である。政府と日銀があらゆる手を打っても上がらなかった物価がいとも簡単に、すでに2%突破である。(5月の東京都区部総合指数は前年同月比2.4%上昇)

 当然のことながらこの中には6月以降の価格改定は含まれていない。街中でもランチの価格などはメニューを一新して、わからないように改定されているし、スーパーでは価格維持宣言(○月○日まで)などのチラシが見られるようになった。これは、その日を過ぎれば値上げしますよという予告である。

 公共交通機関も来年以降値上げが予定されており、企業に値上げに対する抵抗がなくなればあらゆる物価が一斉に上がる恐れがある。すでに、昨年来企業物価指数は上がりに上がり続けており、目下物価が落ち着く気配は見られない。

 ここ30年にわたって、消費者物価は消費税率の改定以外で上がることはなかった。すっかり物価は上がらないものという感覚が定着しており、連合の2022春季生活闘争の第5回回答集計結果を見ても、月例賃金は定昇込みで僅か2.10%の賃上げである。ところが、現下の物価上昇率はあっさりとそれを超えてしまった。当然のことながら賃上げの大部分は定昇である。

 それでも、コロナ禍にあっては消費が減ったため、家計全体で捉えれば貯蓄は増加傾向にあった。今後コロナ禍が収束すれば、リベンジ消費が期待されていただけにこの物価の上昇は痛い。悪くするとリベンジ消費が物価の上昇で吹っ飛んでしまうことになりかねない。

 7月には参議院議員選挙が行われる。それを見越してか、政府も物価高騰対策の補正予算や雇用調整助成金の再延長など対策に躍起である。

 一つ一つの政策には当然賛否両論あろうが、ようやくコロナ禍が落ち着きつつある中、何としても悪性インフレの到来はくい止めなければならない。