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哀れな2000円札

おかぼん

 先月から新しい500円玉が発行された。銀行の両替機で両替すると、光り輝く未使用の新500円玉が出てきた。いずれ従来の500円玉に取って代わられることだろう。最近では初代500円玉を見ることは極めて稀だ。先日たまたま初代500円玉を受け取ったので取っておくことにした。

 さて、今年のNHK大河ドラマの主人公である渋沢栄一の新10,000円札は、津田梅子の新5,000円札、北里柴三郎とともに2024年から発行される。しかし2,000円札が新たに発行される予定はない。というか、最近では2,000円札を巷で見ることはなくなった。店舗のお釣りで2,000円札を受け取った経験など皆無だ。一般に流通しているとは思えない状況だ。以前、沖縄の泡盛試飲会の会費6,000円の支払いの時、「10,000円札のお釣り4,000円は2,000円札2枚でお渡しします」と書かれた貼り紙が強烈な印象で、いまだに覚えているほどである。

 2,000円札は発行経緯とその図柄に首里城守礼門が描かれていることから、沖縄県では年々発行高は増えているものの、全国的には2004年度以降急減し、最近では約1億枚で推移している。国民1人当たり1枚で、記念に取っているだけということなのだろうか。

 発行高が増えないのはATMで普通に出てこないことに加え、自動両替機でも両替できない機械が多いことからやむを得ないとも思うが、最近では都区内の大手銀行であっても、支店によっては窓口でさえ両替ができないところが出てきた。理由を尋ねると支店に在庫がないからだという回答が返ってきた。これでは増えないわけである。

 警視庁では、今年7月から警察署の手数料支払窓口に現金収納機を設置した。もちろん、2,000円札収納可能である。しかし、警察署によってはいまだに係員がわざわざ窓口で1,000円札に交換したうえで投入しているところがある。2,000円札が収納されないと思っているのか、収納された後の処理が複雑になるのか理由は定かではないが、警察署でさえこの有様である。

 あと1か月で新しい年を迎える。新しい年と言えばお年玉。来年は2,000円札でお年玉をあげてはどうだろうか、と提案しつつ、いや、デジタル時代到来とあっては、お年玉もキャッシュレス化していくのであろうか。いずれにしても、来年も2,000円札が広く一般に使われることはなさそうである。