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名ばかり総理の名ばかり緊急

おかぼん

 最近は、菅総理が記者会見を開いても全く聞く気がしない。当初は多少の期待もしたが、それが裏切られ続けられる一方、何ら新しい話があるわけでもなく、記者からの質問も体よく躱すだけだからである。自ら発信することのない自動販売機と化した名ばかり総理と言いたいところだが、国民が希望する商品を出すことさえ疎かなのだから最早死に体、名ばかり総理にも値しないといったところである。

 オリンピックでの日本選手は大活躍で、史上最多の金メダルラッシュに沸いているが、その数以上にコロナ感染者の数も増え続け、首都圏などでは過去最高を更新し続けている。一体どこまで増え続けるのか。既に医療崩壊は始まっており、尾身会長がより強いメッセージを求めてもそれに対する回答は躱し、一つ覚えの酒類提供自粛を求めるのみである。これとても自粛に応じない店を取り締まることさえできず、路上飲みの自粛要請には、公園のベンチにせいぜい網をかける程度で、コンビニに夜間酒類販売停止を求めることさえできないのである。

 飲食店にもそれぞれ事情があるのであり、その状況は、食糧不足の戦後、配給だけでは生活できずやむなく闇に手を出さざるを得なかった話を彷彿させる。取り締まりを強化せよというのではない。生活が成り立つようにすべきであり、休業支援金の遅配など決して許されるものではない。

 結果として、緊急事態宣言も名ばかりで、昨年春の緊急事態宣言の内容に比べれば月とスッポン、ニュースの解説通り大多数の国民は緊張感を欠いている。先日の4連休の国民の行動がその表れで、高速道路は随所で渋滞が発生した。阪神淡路大震災、東日本大震災の非自民政権の対応も決して褒められたものではなかったが、コロナ禍の今政権の対応はその比ではないほど酷いものである。最早、公助は疎か共助も当てにはできず、自助あるのみである。

 ワクチン接種が進めば感染拡大は収まると総理は言うが、高齢者の比率が大幅に下がってきたとは言え、母数の拡大が著しいため、比率ほどに実数は減っていないことは知っておくべきである。結局のところ、インフルエンザのような治療薬ができるまではコロナ禍は続くと思って間違いない。配給制度がモノの出回りにより消滅していったように、急にコロナ禍が終息することはないであろう。

 では政府は何をすればよいのだろうか。まずは早急に信頼を取り戻すべきである。可否を聞いているのに、それには答えずかみ合わない回答をするようでは、信頼は低下する一方である。名ばかり総理ではそれも無理な話であろうか。