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自民は菅とオリンピックを止めろッ

おかぼん

 東京都をはじめとして沖縄県を除き、ようやく緊急事態宣言が解除されたが、杓子定規にマニュアル通りの日程で解除するものだから、東京都の新規感染者数は解除を待たずに下げ止まりからリバウンドに転じ、その後連日前週同曜日比増を更新中である。今後検査者数を減らすなど恣意的に調整でもしない限り、当面は統計上の新規感染者が減少することはあり得ない。

 もっとも、ワクチン接種が進んでいることから減少も見込めるわけだが、ワクチン接種を率先して受けに行く人と、規制が緩和されるとすぐに飲みに行くような人とが異なることから、すぐに効果が出ないことは明々白々である。

 そのような中、ニューヨークタイムズ紙が「なぜ東京オリンピックが中止にならないのか」と題して、その答えとして、何十億ドルもの資金、何年にもわたる準備、何千人ものアスリートたちの待ちきれない気持ちなどを説明した。今さらさすがに中止はないだろうが、はっきりしていることは、日本国民のほとんどが賛成し、ラグビーワールドカップのように世界中から東京へ人が集まって行う祭典は最早あり得ないということである。名ばかりの東京オリンピックを開催するかどうかだけである。

 オリンピックを中止すると巨額の資金が無駄になるというが、観客を入れても日本人だけの限られた人数なので、満額無駄にしないで済むことはすでに不可能である。1000兆円を優に超える累積債務を抱える日本が、100年に一度と言われる感染症対策のために、その1%にも満たない資金が無駄になったとしても国民の理解は十分得られるはずである。

 問題は、アスリートたちの気持ちである。これは唯一理解できる理由である。しかし、せいぜい半数以下の観客しか入れない会場で、実力をどれだけ発揮できるというのだろうか。少なくとも観客の大きな声援を得て、ということはあり得ない。

 最後に菅内閣の事情が書かれている。支持率が低く、菅首相は自分の政治的な運命が大会と密接に結びついているため、大会を中止することができないのではないかと恐れているという推論である。これはもう論外である。

 80年前に太平洋戦争を始めるとき、それまでに大陸に投資した資本や人が無駄になると考え、当時の国民の気持ちを抑えられず、戦争を回避すればクーデターが起きて内閣が持たないと考えて、成り行きで開戦したことから何も学んでいない。

 国民一人ひとりのいのちを大切にしない、何ともひどい内閣である。