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暗黒の年末年始は見たくない

おかぼん

 先月はこの国の民主主義のレベルの低さを嘆いたが、この国の指導者のレベルの低さにも唖然とする。今に始まった話ではないが、何も与党だけではない。野党議員も同様である。桜を見る会の追及よりも、今はコロナ対策最優先である。

 コロナの第三波が押し寄せている。数だけ見ると第一波、第二波よりもはるかに大きなうねりである。しかし、その緊張感たるや第一波、第二波、そして第三波と日を追うごとになくなる一方である。政府自治体のやることといったら、お決まりの営業自粛要請と一時締め付けた規制を緩和する時期を延期するのが精一杯の状況である。

 先月述べたように、この国の一般国民は自分で判断する能力を欠いているのだから、政府自治体の指導者が的確な判断を下して必要な対策を講じていくしかない。その指導者が、この期に及んで「それは国の決めることです」「それは自治体の要請があってから」などと譲り合っていてどうするのか。そのくせ、「医療崩壊した場合は責任を取って辞職させていただきます」の一言も発することさえできないのである。医療崩壊してしまっては辞職されても何の効果もないのであるが。

 財政を気にしているようであるが、1000兆円を超える債務をかかえ、それでも円安にならずインフレの起こらない国なのだから、この国難と言われる非常時に10兆や20兆円債務が増えたところでよいではないか。何故、その決断ができないのだろうか。不思議で仕方がない。

 このコロナ対策を巡っては、太平洋戦争当時の政府の対応と酷似しており、あのときの政府の取った行動の反省が全く活かされていないと思うのは私だけではあるまい。もう敗戦が必至となっても、本土が空襲され、原爆が投下され、頼みとしたソ連が参戦しなければ決断できないというのは、今後どんどん感染者が、とりわけ重症者が増え、医療崩壊が現実に起こらなければ決断できないのと全く同じである。

 直ちにGOTOを停止して緊急事態宣言を発令し、医療崩壊を食い止めるべきである。そしてその補填は国の財政負担で一時的に賄うべきである。

 その負担はコロナが収まった後に、積もり積もった企業の利益剰余金に課税すればよいのである。企業も課税されるのがいやなら、労働者への分配や積極的な設備投資に回すであろう。それならそれで経済が回復し、結果的に税収増につながるのである。

 暗黒の年末年始だけは絶対に防がなければならない。