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アベノトラブル最終章

おかぼん

 とうとう「アベノトラブル」なる語が聞かれるようになった。本コラムでは先月、新型コロナウィルスの感染者急増を心配したが、杞憂ではなかった。

 それにしても、この1カ月余の政府の無策ぶりは目に余る。加えてGoToトラベルキャンペーンを前倒しで実施するなど、正気の沙汰とは思えない。もうこの「アベノトラブル」を以ってこの政権の最終章としていただきたい。

  当コラムでは1か月前、「6月30日、本来なら自粛再要請の検討に入るべきところ、東京都はとうとう数値的な基準を設けないことにしてしまった」と書いた。そして1か月後の現在、感染者は着実に増加し、とうとう都内で酒類を提供する飲食店とカラオケ店に対し、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請することにした。

 その一方で、未だに布マスクを介護施設などに配り続けようしていたことには驚きを禁じ得ない。さすがにこれは総スカンを食らって断念したようであるが、今の政府には何を一番にするべきか、全く分かっていないのではないか。

 国民が望むことは理由をつけて先送りし、あまり望んでもいないことは問題があっても、前倒ししてでもやろうとする。そしてそれを「丁寧に説明」しようとしない。目指すべき真の民主主義とはほど遠い状況である。

 自民党改憲草案の中には緊急事態条項がある。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大下における政府の無策振りを見ていると、優先順位が逆さまになっているではないか。「多くの国民が望む策を出そうとしても、現憲法の制約上できないから緊急事態条項を」、というのが筋道であるのに、そもそもが無策では何の説得力も持たない。「緊急事態条項」は何か、政府の都合がいいように使われるのでは、と思われても当然である。

 ところで、厚労大臣は来年6月までに米製薬大手ファイザーが開発中の6千万人分のワクチンの供給を受ける合意に達した、と報じられている。私には「オリンピックまでに国民の半分にワクチンが供給されるので、感染者が増えたところで医療崩壊が起きない限りは大丈夫です」と言っているようにしか聞こえない。

 賢明な国民はGoToトラベルキャンペーンには乗らなかった。お盆休みの指定券の売れ行きは昨年比8割減という。が、このまま無策を継続するならば、感染者数は増え続け、秋以降確実に医療崩壊が起こるであろう。そのときになってもまだ、「想定外」では許されない。