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政府の信頼は墜落の危機に

おかぼん

 緊急事態宣言が全面解除された。その矢先、早くも二次感染が広がる気配さえある。経済状況が大変なことはよく分かるが、首都圏の解除を月末まで待たずに慌ててやる必要がどこにあったのか、理解できないのは私だけではあるまい。

 さて、先月話題に出した「アベノマスク」であるが、あれから一月たった今になっても未だに届かない。店頭にマスクが並ぶようになり、価格がどんどん値下がりしている状況では、配布されてもどれだけの国民が喜ぶであろうか。ある調査によれば、必要と回答した割合は1割前後である、という。

 思い返せば、1993年の米不足のときのタイ米も国民には不評で、残ったタイ米が不法投棄されたり家畜の飼料にされたりしたこともあったようだ。腐るものではないので、すぐに棄てられることはないだろうが、タンスの肥やしにならないことを祈るのみである。

 さて、いよいよ10万円の特別給付金が支給されるようであるが、オンライン申請で自治体によっては大混乱しているところがあると聞く。一部では申請の休止や中止に追い込まれたようだ。オンライン申請は政府が推奨した申請方法である。行政側の危機管理がなっていない典型である。

 そのような中で何を考えているのか、政府は検察庁法を国家公務員法と抱き合わせで、強行採決により改正しようとした。世論の強い反対などでそれを取り止めた矢先、注目の検事長が緊急事態宣言発令下に記者と賭け麻雀をしていたのが暴露された。緊急事態宣言発令下では、一般国民でもそのような行動は控えるというものである。注目されている検事長であればなおさらである。開いた口が塞がらない。

 内閣の支持率が急落した。さもやありなん。憲法改正で危機対応強化、というが、憲法を改正すればこのようなことは起こらないのか。現在の状況下に於いては、国民は何よりも安心して信頼できる政府を強く望んでいる。

 送ると言ったものが2カ月半経っても届かず、推奨している方法によって申請したら中止になる、というようなことが続けば、政府への信頼はなくなる一方である。

 内閣の支持率が落ちたと言っても、受け皿となる野党の支持率が上がったわけではない。与党野党関係なく、政治というものに信頼がなくなりつつある、これこそ最大の危機である。政治家は国民の信頼を取り戻すべく、襟を正して奮起していただきたい。