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ダラダラ感染とケチケチ対策

司 高志

 これまでのコロナ対策を見ていて、やっとキーワードを見つけた。キーワードは次の3つだ。順を追って説明しよう。

 まず第1は、国庫からの支出ミニマム化戦略だ。とにかく、国庫からの支出のミニマム化が最優先となる。理由は、おそらくアホウな財務大臣との関連だと推定される。総理と並んで現状この二人の組み合わせは最悪だ。加えて財務省の意向が強く反映されているのは想像に難くない。財務省は、自らのコントロールの利かない支出が発生することは、自省の権限が縮小されたことになり、気分が良くないのだ。

 マスク2枚配布は、4月1日に発表されたため、外国からエプリルフールかと揶揄されている。実用にならないサイズの小ささに加えて、ごみの付着やら品質管理もいいかげんだ。さすがに、見せかけ額が多いだけの詐欺的補償30万円は見直されたが、見識の定まらない総理のことだから、実際に受け取るまでにはどうなることやら。

 ケチケチぶりを示すのに30万円を例にとれば、よくCMで最大5万円キャッシュバックなどというのがあるが、細かくて読めないような字で下の方に書いてある注意書きを読むと、オプション加入やら適用条件がいっぱい書いてあったりする。あれと同じで、所得の低い人、収入が半減した人などと考慮すると、おそらく満額もらえる人は、非常に少ないと推測される。しかも申請した人のみなので、審査があり、そのあたりも不透明だった。提示された金額は大きいが、受け取れる人は少ないという、提示額が大きいだけのまやかし対策だ。こうなることはすぐにわかりそうだが、安部、麻生の最凶コンビと罪務省の三連コンボがそろえば、こうなってしまう。

 検査をしないのも先月書いたように、種々行事が優先されたためだが、感染者を少なく見せれば、それだけ対策費用も少なくて済むというものだ。

 ワクチンの開発や医療体制の整備なども国庫からの支出が最小になるようにしているので、有効な対策はないのと同然だ。

 第2が経済活動最優先。補償はしたくないので、強制力のある指示は一切行わず、自粛の要請しかない。休み損だから、皆お金のために働く。最近やっと、やや真剣になった程度である。

 最後の第3は利権まみれ。先月号でも利権やお金に目がくらみ、対策遅れを指摘したが、ほかにもG民党や議員に利益をもたらす業界には、目に見えぬ優遇措置がある。パチンコ、飲酒・飲食、理美容、風俗など、次の選挙で利用できそうなものは、自粛の対象から外れたり、自粛が後ろ倒しにされる。真の不要不急とはいかなる業界かよく考える必要がある。

 また、利権まみれで、配布される2枚のマスクの件についても述べておきたい。

 マスク配布は、郵便局が行うようだが、郵政株を持っているのはどんな人かよく考えた方がいい。多くの議員さんが保有しているのではないかな? マスク配布は見えない株価の維持工作だ。

 マスク配布は、国の事業であるから、マスク購入は、一般競争入札になるはずだ。入札後の情報は開示されてよいはずだが、マスク発注情報が公開されているとはいいがたい。どうやってきめたのかよくわからない。

 最後に真のコロナ対策を考えてみよう。孫子の兵法では、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」といわれるように、コロナウイルスの科学的性質をよく知ることが基本となる。そのためには、コロナウイルスに関するあらゆる科学的情報をつかむことが第一である。コロナウイルスのウイルスとしての性質をつかむことと、感染した時の人体との相互作用など、とにかく情報が必要なはずだ。ところが、第2次世界大戦で日本が英語を使うことを禁止したように、検査を行わなければ、敵の情報が得られないではないか。

 また、医療体制や市井の人々の経済状況などを知らなければ、対策はできないではないか。だが、数値データは示されず、瀬戸際とか重大局面とかがいつまでも続く。本当の状態が見えなくなってしまっている。特に医療関係では、補給線を軽視して戦ったインパール作戦と似たような失敗を繰り返そうとしている。

 こうして、不文律の国庫支出の最小化を是として、行き当たりばったりや精神論で進めてきたコロナ対策は、ダラダラ感染を引き起こして、みんなが抗体を持つまでいつまでも補給線のないままダラダラ続くのではないかと思う。