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働き方の地殻変動に労使は…

おかぼん

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。それによる経済への影響は極めて深刻で、今後の対応を誤れば、リーマンショックどころか昭和初めの世界恐慌をも超えて、有史以来の大恐慌にさえなりかねない状況である。

 それにしても、政府の判断が後手後手に回っていると感じるのは私だけであろうか。希望者全員に検査ができない中で、着実に感染者が増加し続けている状況にあっても、ギリギリ持ちこたえているので、まだ緊急事態宣言を出さなくても大丈夫、というのは、太平洋戦争の末期、本土が毎日のように空襲されて焦土と化し、連合艦隊が壊滅しても、まだ大陸には強力な陸軍が残っていると豪語し、原爆が投下されソ連が参戦するまで敗戦を認めなかった政府と酷似しているような気がする。医療崩壊に陥らず、これが杞憂であることを祈るのみである。

 さて、日本経済新聞では、経済教室で「日本型雇用、改革の行方」というシリーズの連載が続いている。春闘の大手の結果が出たのを受けてのものであるが、第1回の3月17日は「春季労使交渉の異変」という題で、経団連がデジタル技術革新に伴う産業構造の大変革を背景に「ジョブ型」雇用制度を提案する中で、結果として「パターンセッター」および「一律ベア」という春闘の基本形の変質が鮮明になったとしている。おそらく、今後この流れは加速こそすれ後退することはなかろう。

 そこへもってこの新型コロナショックである。これは終息まで相当な期間が予想される。その間に産業構造が一変するのではないかと思われる様相である。この私でさえ、不要不急の仕事がこれほど多かったのか、と改めて驚いている次第である。今後の働き方が様変わりする可能性は、終息までの期間が長引けば長引くほど、極めて大である。それでなくてもデジタル技術革新に伴う産業構造の大変革のなか、働き方改革が加速されている昨今である。

 長い目で見て世の中全体を俯瞰すれば、好ましい流れと見ることもできるが、このような大変革は少なからず痛みを伴う。そしてそれは個々の労働者にのしかかってくる。一つ間違えば、長期にわたり失業ということにもなりかねない。

 この流れに労働組合はどう対処していくべきか。一概に経営側に問題があるとは言えないだけに、非常に大きく難しい問題である。労働組合の真価が問われるときである。