月刊ライフビジョン | off Duty

損なの?得なの?ワケワカラン!

曽野緋暮子

 用事を済ませ、帰宅前にリフレッシュしようとJRの駅近くのドトールに入った。そんなに混雑する時間帯でもないのに注文レジの前に列ができている。列の先頭に私と同年代の女性がスマホ片手に大声でレジの店員と話している。

 「本当にレジに読み込んでくれたの?」「はい、ちゃんとレジに通しました。」このやりとりの繰り返しが続いている。レシートを受け取ってもまだ納得がいかないようだ。どうやら彼女は10月からの消費税増税に際してスマホ決済を使い始めた初心者のようだ。列が長くなる一方なので他のスタッフが「お客様こちらでお話を」と彼女を別の場所へと誘導した。レジスタッフはちょっとご機嫌斜めに見えたが、次々と客を捌く。やっとコーヒーがゲットできた私はゆっくりリフレッシュタイム。件の彼女は近くの席でスマホとレシートを見つめている。納得できたのかなあ?

 10月消費税増税に際しての軽減税率とか2%~5%還元は、超ややこしくて今だに理解できない。食料品の大半を購入する地元のスーパーは「中小のスーパー」という位置づけなので、カード払いで5%還元だ。私はポイントカードは持ちながら現金払いをしていたが、9月のある日レジの人から「ポイントカードを持っているのだから電子マネーチャージすると5%お得よ」と言われた。「現金払いで暗算をすることがボケ防止になるから、現金払いが良いと思っている」と私。「だったら来年6月まで電子マネーにして、その後現金にすれば良いじゃない。5%還元は来年6月までだから」と更にアドバイスをしてくれた。

 そこまで言われたら電子マネーにするしかない。そのスーパーでは軽減税率8%対象の物を購入することがほとんどなので、今までより5%安く購入することになる。レシートにも5%還元の金額が明示されているのでわかりやすい。

 でもこれって、レジを取り替えたんだよね。来年6月になったらまたレジを替えるのかな?お店の負担は?レジ担当の負担は?そのコストは最終的に誰が?。う~ん!

 こんなわかりやすいキャッシュレスなら使えるが、クレジットカードを使ってもお店が申請していなければキャッシュバックはないとか、現金ではなくてそのカードのポイントでバックされるとか、クレジットカードを使うとその店独自のポイントが付かないとか、とにかくわからん!

 一番解らないのが、消費税増税に際して便利で使い易くお得だと盛んに宣伝されている「PayPay」だ。個人商店でもレジ横にQRコードと「PayPay」の表示がある店が増えた。個人でやっている行きつけの整体院にも「PayPay」の表示が。彼曰く「PayPay」がどんなものか知るためには使ってみるのが一番かなと思って始めました。」「いろいろ解ってきたら曽野さんにも教えてあげますよ。」

 でも、スマホにクレジットを直結して支払いするのって恐い!スマホを持っていてもメール、通話、LINE、時々カメラしか使わない私は、スマホの機能を熟知していない、財布を持たずにスマホだけでお出かけなんて考えられない。更に今お得感のある「PayPay」だって、来年の6月になったらどう変わるかわからないよね。

 考えなくても良いことに頭を使うのって疲れるなあ~。なんだかんだ言っても来年6月頃には、財布の代わりにスマホ生活が定着するのかしら?

 日々こんな目くらましに悩まされていたら、肝心なことが考えられなくなりそうだ。そうか、これって政府の深謀遠慮?