月刊ライフビジョン | off Duty

ポカミスポカポカ

曽野緋暮子

 自宅の改修工事をした。最近はコンビニでの振り込みが増えているのに、今回は銀行指定の振込用紙が送られてきて、支払名義人は夫になっていた。業者には便利なのだろうが、銀行まで出かけるのが何とも面倒くさい。

 買い物に出かけるついでに銀行に立ち寄った。順番待ちして窓口で振込用紙とATMカードを示し、振り込みを依頼すると、本人ではないので窓口でお金を引き出せないとのこと。「ではATMでお金を引き出してきます」とその場を離れ、ATM操作していると窓口嬢が慌ててやってきて、「お客様、引出は止めてこちらに来てください。」と誘導された。

 振込金額が10万円を超える場合は本人でないと振り込めないこと、今回は54万円なので現金を引き出しても振込はできないことを説明された。「え~、そんなこと聞いていない!」と思わず声が尖る。「昨年9月からどこの金融機関でもそういう取扱いになりました。」「そんな告知受けていないですけど。」「行内にポスターやチラシで周知しております。」「だからと言って、ここに来るまでわからないなんておかしい!」「いえ、HPにも掲載させて頂いています。」用事もないのに銀行のHPなんて見る趣味はない。「そんな大事な事ならなんで書面で知らせてくれないの」。言っても無駄とわかっていても、次々と愚痴っぽい言葉が出てくる。

「ATMカードをお持ちですしご家族であることがはっきりしているので、振込みできるか上に確認してきます」の言葉に待つこと暫し。「この書類を書いて頂ければお振込頂けます。」とA4サイズの書類を出された。待ちくたびれてキレた私は年甲斐もなく、「もう、良いです!本人に来て貰いますから振込伝票を返して下さい。」と啖呵を切っていた。多分、恐~いバアサンに変身していたことだろう。窓口嬢とその上司とおぼしき女性が「いえ、この書類は私どもで記入しますのでご職業だけ教えてください。」と怯えて(?)とりなす。結局、ATMで現金を引き出して振込を済ませた。

 ところが今度は、ATMカードはあるが通帳が見当たらない。現金引き出しの時に通帳も同時にATMに入れたことを、慌てていた私は忘れていた。しかしATMに戻っても通帳がない、途中で落としたのかとアチラコチラを探しても見当たらない。仕方がないので先ほどの窓口で、通帳が見当たらないと訴えた。「通帳がATMに引き込まれているかもわかりませんね。」と言われた。カードも通帳も一定時間が過ぎてもそのままだと内部に引き込まれてしまうそうだ。そんなこと、ちっとも知らなかったなあ!なんて思っていたら窓口嬢が通帳を持って来てくれた。さっきキレたばかりでバツが悪かったが、素直にお礼を言った。こういうことは偶にあるそうで、時間が経ってからの引き取りだといろいろ面倒な手続きがありそうだ。ポカミスが多くなった私。誰にいつお世話になるかわからないので簡単にキレないようにしなくては、と反省しきりで帰宅した。

 それにしても、様々な情報が電子媒体を経由しないと得られない。HPやfacebookで公開しているのに知らない方が悪いと言わんばかりの対応や、高齢者を守るためとは言え、自分のお金が自由に動かせないこともストレスになる。まずはスマホを使いこなせるようになるしかないのかなあ。やれやれ。