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悪ノリ、国立公文書館

司 高志

 国立公文書館が、アーキビストなる職種を大量に売り出そうと画策しているようである。アーキビストとは、永久保存する文書を選定し、管理する文書屋のことだ。

 これが今の時期に出てくるというのは、官邸に売り込もうという魂胆ではなかろうか。

 文科省のことだけに限定して書くと、文科省の文書管理がずさんであるとの批判が報道されていたりするが、これは間違いである。文科省はモリカケ問題について、総理のご意向であることを示す文書が存在したから、正直に文書を出しただけのことである。あるものをあると言うことが、文書管理がずさんであることになろうはずがない。総理に都合が悪い文書が出てくるとこを「管理がずさん」と言うことにしたいのであろう。

 話は変わるが、モリカケ問題の総理のご意向を伝えた秘書官が退職するという。トカゲの尻尾切りによって、ますます真実が遠くに行ってしまった。

 他の省庁は文書を隠したが、文科省だけは出てきたので、官邸は文科省を目の敵にしているように思える。

 そこで、アーキビストの売り込みである。おそらく、総理のご意向に沿って各省庁を監視する役目を担わせて各省庁に送り込む算段で、官邸に猛アタックしているのではないだろうか。総理のご意向である文書管理強化と相まって全くの悪ノリである。

 また、最近の動きを見ていると文科省の不祥事が目立つ。

 総理のご意向としては、前文科次官の前川を潰したいのであろうが、前川は、天下りの引責辞任といかがわしい場所に出入りしていたという以外のことで法律に触れるようなことはしていない。なんとか本丸を逮捕したいのはやまやまだが、そのネタがないため、先に捕まったSは前川一派であるとの故意の誤報道がなされた。先に捕まったSは前川一派でないのは明白である。次に捕まったKは、Sとは先輩後輩の間柄になるので、KとSは面識はあるはずだ。もしかしたら、Kも前川一派であるとの報道がなされるかもしれない。

 とにかく、前川本丸が落ちそうにないので外堀を埋める作戦で、文科省の評価を下げまくり、結果として引責辞任した前川の評価を落とそうという涙ぐましい策略にも感じる。

 さて話を戻して、歴史的に保存する文書が決まって、保存され、みんなが読めるようになっても、そんなものは後の祭りだ。いろいろな政策の決定経緯を知ったところで何の意味もない。現に現在進行中の法令が改悪されないように対抗しなければならない。

 これができるのは、野党だけである。国会前でデモをしようが、けしからんと吠えようが、国会で決まってしまえば悪法でも法律一丁上がりになってしまう。

 そこで野党の働きが重要になってくるが、野党の基本戦略は、いつの時代にもいる一定割合の反対層のみを得票の対象にしているように思える。だから現政権の支持率は下げることができても自らの支持率を上げることができない。それは、ネットと大きく関係があると筆者は見ている。

 インターネットでは、現政権をいくら批判しても、同じことを野党もやってました、というブーメラン効果の書き込み一発で批判の効果が薄れる。筆者は、インターネットを使う若い人ほど野党離れが進むのは、この理屈によると考えている。

 野党は猛省して、自らに厳しい処分を下してブーメランを打ち消さないと、未来の日本が大変なことになる。重ねて言うが猛省してもらいたい。