月刊ライフビジョン | 地域を生きる

市長・市議ダブル選挙のてんまつ

薗田碩哉

 いつもは行政や議会の「お客さん」でしかない地域住民が、4年に一度、それも1週間だけ「まちの主人公」として市長・市議候補から「お願いしま~す」と平身低頭してもらえる選挙の季節がやってきた。昨年、市の提示した「公共施設再編計画」の問題点に異議を唱えて来たわれわれ「まちだ未来の会」は、千載(四歳)一遇のこのチャンスに市民目線の市長・市議を選び直すにはどうしたらいいかを考えた。

 取り組んだのは政策アンケートを候補者に送って回答を求めることである。市議候補に対しては「再編計画」でわれわれが問題にしている項目――町の歴史や文化・生涯学習の振興策や地域図書館の統廃合について、積極的――中間――消極的の選択肢を用意して〇を付けてもらい、自由な意見の記述も求めた。3期も続いている現市長の政策評価も入れた。それをわれわれの主張に近いか遠いかによって判定し点数をつけてみた。市長はこの計画のいわば元凶だから、評価すると点数は低く「全く評価しない」が高得点になる。40数人の立候補予定者に送って24人から回答を得た。さすがに選挙となれば多くの議員さんがアンケートを無視できなかったと思われる。

 採点結果は共産党が100点、市民クラブは70~80点、公明党は75点、自民党58点というところ。議員の回答とコメントをまとめて資料を作り、公示直前の学習会で披露し、ネットを使っての拡散も試みた。一般の市民に実際どこまで投票の参考になったかは心もとないが、これからもこの問題を巡って市議諸公と付き合っていくのだから、いい資料が手に入ったと思っている。

 市長候補のお三方には、市の計画の対案としてわれわれが主張している再編計画の指針――賑わいよりもやすらぎを/身近な生活圏の重視/建て替えよりも長寿命化/バランスの取れた財政配分などを突きつけて回答を求めた。現市政を批判する共産党とリベラル若手の2候補がこれらを支持する回答だったのは当然だが、何と自民・公明が推す現市長も他の二人と全く変わらぬ答えを送って来たのには呆れた。さすがは古ダヌキ、いけしゃあしゃあと現在進行中の計画を平気で否定する指針を上げて見せた。おしまいのコメントでは「首長と議会に加えて3つ目の車輪として、市民による市政への直接参加を進めていきたい」と画期的なコメントもお書きくださった。そして「行政改革」という名の職員切り捨てと「J1規格のサッカー場」づくりに狂奔するこの方が、堂々4期目の市長に危なげなく選ばれたのであった。

 市議の方はもともと倍率が低いので勢力図にさほど変化はなく、われわれが落第点をつけた方々もしっかり再選されている。気になるのは42パーセントという投票率の低さ、公共施設再編で小学校や図書館がなくなったり、中心街ばかりに資金が投ぜられて郊外の不便さが増したりしても我関せずで済むのだろうか。日々の暮らしと町の政治を結び付けるのは簡単ではないが、今回の試みを生かしながらゆるゆる進むしかない。臥薪嘗胆の4年後、今度こそ町の政治を変えてやるぞ!

【街のイベント帖36】 中学校での特別授業

 近くの中学校に招かれて「しごととあそび」の話をした。生徒は中学一年生、自分より60歳若い同じ干支なのが嬉しかった。まずまず、しっかり聴いてくれた。

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 薗田碩哉(そのだ せきや)

 1943年、みなと横浜生まれ。日本レクリエーション協会で30年活動した後、女子短大で16年、余暇と遊びを教えていた。東京都町田市の里山で自然型幼児園を30年経営、現在は地域のNPOで遊びのまちづくりを推進中。NPOさんさんくらぶ理事長。