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ドラッグストアのレシートも”お大事に”

音無祐作

 先日、具合が悪くて病院に行ってみると、受付で「お座りになってお待ちください」と言われたものの、待合室の椅子はふさがっており、仕方がないので立って待っていました。しばらくすると、数人で話していたおばあちゃんの一人が、「それじゃあ、あたしゃそろそろ帰るわ」と立ち上がり、他の方々もそれにつられて帰っていきました。混んでいたように見えたその方々は、とっくに診察等を終え、単におしゃべりに興じていただけだったようです。

 まあ、この時はそのおかげで? あっさりと私の順番は回ってきたのですが、忙しい会社員にとって、混雑している病院での待ち時間というものは非常に苦痛であり、ついつい病院を敬遠しがちではないでしょうか?

 代わって頼りになるのはドラッグストアで手に入る市販薬だと思います。

 最近、市販の医薬品のパッケージなどで、「セルフメディケーション」「税 控除対象」というマークを目にすることがあると思います。平成29年からスタートした医療費に関する新しい税制に関することです。1月のスタート当初はテレビなどでも案内されていましたが、もう忘れてしまった方もいらっしゃるかもしれませんので、確定申告に備えて、改めてご紹介させていただきます。

 医療費に関する税制には、これまでも主に医療機関での費用に適用できる「医療費控除」というものがありましたが、あらたに市販薬などでの健康維持増進に関する費用に適用できるようにした制度がセルフメディケーション税制です。

 基本要件として定期健康診断や特定健診(メタボ健診)、予防接種やがん検診などを受けている方が、「スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)」を購入した費用が12,000円を超えた場合に、超えた分の費用(上限88,000円)を所得から差し引いて税額を計算できるという制度です。生計を一にする配偶者その他の親族分まで適用されます。

 例えば、年間で22,000円の対象医薬品を購入した場合、その方の税率が所得税20%、住民税10%だったとすると、(22,000-12,000)×(20%+10%)=3,000円の減税効果があるということになります。ただし、医療費控除との併用はできませんので、ご注意を。

 この10月に行われる総選挙に向け安倍自民党は、「財政黒字化を先送りし、子育ての充実を優先する」と、聞こえの良い政策を語っていますが、これは、せっかく上がる給料を借金の返済ではなく、子供の塾代や遊興費に使ってしまおうというようなもの。結局は国家財政の将来を政治家個人の延命に遣おうという、白昼堂々の汚職事件です。

 そんな情勢の中で、賢い国民が自分の将来不安を少しでも埋めるには、選挙権の行使はもちろん、金融や税制を賢く利用し、自己防衛を図ることが大切です。セルフメディケーション対象の「スイッチOTC医薬品」を購入した場合、レシートにも★印等のマークが記載されているはずです。

 まずは、医薬品を購入したレシート等はしっかりと保管し、年が明けたらその対象額を計算できるように準備を心がけておきましょう。