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立民再生への提言

司 高志

 最近はあまり聞かなくなったが、少し前まではPDCAという言葉がよく使われてわれていた。製造業などのISOの取入れとともに流行った言葉である。

 PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のそれぞれの英語の最初の文字をつなげたものである。簡単に言えば、計画を立てて、実行したら評価して、その結果改善策を見出し、計画に反映する。これを繰り返すことによって、徐々に行為の精度が上がっていくというものである。

 政党というのは、このPDCAをやりたがらない、と私は思う。特に野党系の政党はやりたがらない。選挙の結果を評価し改善点を探るということをしないから、野党系の政党は、勢いがなくなれば、表舞台から消えていくという運命をたどる。散り方としては分裂することもあるし、票が取れないので議員数が減り、政党要件を満たさなくなり、消滅ということもある。

 今回の選挙は、自民、立憲民主へ「お叱り」+「お仕置き」票が維新に流れたと見ている。自民と立民のマイナス分の合計が、維新のプラスとほぼ同数となる。

 野党に関しては、私の感想では、選挙後に負けを負けと認めないとか、敗因の分析をしないとか、そもそも選挙結果を語らない、などが多いように思う。

 で、立憲民主党は代表は変わることになったので、まさか今回も反省と敗因分析はしないとは思えないが、参考までに今後注意すべき点について述べておこうと思う。ぜひとも新代表が積極的な改善をしてほしい。

 まずは、前総理がやめてしまうことまで想定して、選挙を戦えるようにしていないといけなかった。前総理はコロナ対策やオリンピックの開催など無茶苦茶をしすぎたため、国民からの信頼を失っていた。前総理のままなら善戦できたであろうが、総理が変わり、前総理の行為がリセットされてしまうと途端に勝ち目がなくなる。私はこのときのため、経済対策はしっかりやるようにと本欄で書いておいたが、残念ながら心に刺さるものがなかった。

 立憲民主党のパンフレットを読んでみたが、心には響かない。経済対策では、二つの要素をうまく盛り込んでいくことが必要である。一つは経済が成長する予兆が見えること。そしてもう一つは、その結果給料が増えることである。キャッチコピーも一億総中流とは…。いや、経済全体が成長している時ならまだしも、時代が違うでしょう、という感想しかなかった。どうやったら経済が成長するか、解は難しいが、何か述べてもらわないと納得感がない。

 給料が増えないなら、減税だが、これも具体的数値をあげてほしい。例えば、確定申告などをすればわかるが、給与からの基礎控除があまりにも少ない。2400万円以下の年収で、控除が48万円とは…。48万円の控除で納得するのは、上限の2400万円近くの人だろう。1000万円以下の年収で500万円の控除とかなら、多少なりとも納得感があるが。

 ついでに述べるが、ジェンダーとか夫婦別姓とか森友とかは、国政にあまり関係ないでしょう。こういうのがやりたいのだとすれば、立憲民主は守りに入っていると思わざるを得ない。

 国民から見れば、立民はチャレンジャーなのだから果敢に攻めていかないといけない。ところが、外野のヤジ席の確保を目的に、全くの守勢に回っている。監督、プレイヤー、コーチなどを目指すことなく、外野席でヤジるのが一番楽だからだろう。とにかくグランドに降りてプレーしていただきたい。

 守りの姿勢と関連して、新規支持者の開拓に向かっていない。立民にとって支持者とは、外野からヤジることを良しとする人のことであると推定する。こういう支持層しか相手にせず、新規支持者の開拓をしないから先細りは確実である。

 新代表はぜひとも、次の参院選で真価と進化を見せていただきたい。