月刊ライフビジョン | off Duty

刷り込まれた習慣からのリハビリを

曽野緋暮子

 原因はわからないがコロナ感染者が激減中。コロナ感染者が出た原因がわからないのだから激減の理由がわからないのは当然かな? とにかく感染者が減ったので様々な規制が緩くなって、ホッとしている。

 そこで平地のマスク、消毒スプレーの「感染対策」装備をして地元の山に出かけたら、なんと登山道には蜘蛛の巣が張っている。拾った枯れ枝で蜘蛛の糸を払いながら登る。いつも昼食タイムを過ごす展望台には雑草が生い茂り、雑木が生い茂り、周囲は全く眺望がきかなくなっていた。一年半の、人間の行動変容の結果だろう。ちょうど通りかかったオジサンが「枝を切ったり、草を刈りたいんだけど、ここは国立公園の一部になっているので勝手に切れないんだ。役所に問い合わせしているけど返事が来ない。」「もう少し待って何も言ってこなかったら黙って切るかな? お役所も勝手に整備してくれるのを待っているのかもなあ。(笑い)

 10月最終週、以前の勤務先の大先輩から突然の電話。コロナの規制緩和に伴い関東地区に転勤した大先輩が水彩画のスケッチ取材旅行でこちらに来るので、懇親会をしたいとのこと。定員4人だが、「是非、曽野さんを」と呼び出しがかかったという。田舎とは言え夜の街って、居酒屋呑みって、大丈夫? 不安がいっぱいだが何年も会っていない、年齢的にこれから会えるかどうかも分からない先輩方のこと。思い切って「参加します。」と答えた。

 夜に出かけるなんて約2年ぶりだ。ちょっと胸がドキドキする。集合の駅に着くと以前と変わらない人出に驚いた。居酒屋の入り口には検温センサーと消毒スプレーがあり、店員さんが「検温と消毒お願いします。」と呼びかける。

 6人テーブルで間を空けて座るように言われ、参加者はマスクをしたまま、とりあえずの生ビールでスタートだ。「うん、久々に外で飲む生ジョッキはやっぱり美味しい!!!」でも、一口飲んではマスクをする。お料理も一口食べてはマスクをする。しかし、アルコールが回りだしたオジサン達は段々声が大きくなり、マスクする警戒心もなくなっていく。

 自粛生活で新しい情報が少ないのか、話題が30年前50年前の思い出話になり、私の知らない話で3人が盛り上がっていく。全員がワクチン接種済みとは言え「ちょっとやばいかな?」と思い、コースの料理を食べ終わったところで私だけお先に失礼した。滞在時間は約1時間半。居酒屋でお酒を飲みながら、ワイワイ話をすることはNGってことを、約2年間の自粛生活ですっかり私の脳に刷り込まれていた。この新習慣は、コロナ治療薬ができるまでは抜けないかな。

 友人との電話。「何となく体がダルくて軽快に動けないよね。シャンプーした時抜け毛が多い気がするね。」「これってワクチン接種の後遺症かな?」よくよく考えれば高齢化現象のひとつだろうが、何でもすぐにコロナに結び付く。

 10月後半になり旅行やイベントが再開されていると聞くが、人が多い所に出かける気持ちが起こらない。そんな気分を早く払拭したい!!!