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オリンピックにバンザイ突入、か?

司 高志

 我が総理は仮定の話や未来予測ができないようだから、代わりに筆者がオリンピック開催のワーストシナリオを予測することにしよう。対コロナ戦に関して筆者は本欄で、「スガのノーガード戦法」に至る考えを分析してみた。今回はその復習から。

 前提としては、コロナ感染しても無症状者は感染力をもたない。ワクチンを接種したら感染力がなくなる。コロナは総理の命に従い、必要な時には自然に終息するという強い信念に基づき、物理的な対策は一切行わず、緊急事態宣言を出したりひっこめたりいていれば、そのうち自然に納まる、との想定だ。

 しかしながらコロナもどっこい生きているわけだから、たやすく退治されるわけにもいかず、何とか生き残ろうとする。その過程で、感染力が強いもが生まれたり、宿主を殺してしまうほどの毒性の強いものが生まれてしまったりする。

 こういう非科学的な考え方による対策は、早晩破綻するのは当たり前だ。そして破綻した時には、「ワクチンのメッタ打ち」と「PCR検査の抑制による感染者数の調整」により、何とか乗り切ろうとするだろう。現時点ではその予測がかなりの精度で的中したといえるだろう。

 目下のところ、さらなる危機が迫っている。オリンピックの開催である。まずはオリンピック開催の真の理由を書いておきたい。

 実利上はもちろん、利権である。オリンピックは不祥事と利権まみれで、五輪エンブレムの選定から始まり、競技場デザインの盗作疑惑、建設費の吊り上げ、竹田さんやブラックタイディング社などなど、荒稼ぎしようという連中が砂糖に群がるアリのごとく、いともたやすく集まってしまう。強烈にエサを撒いているのが与党にうごめく得体のしれない連中で、もはやいくら必要なのか、とどまることを知らない。

 オリンピック利権は与党にとってはおいしいが、筆者はこれは真の狙いではないとみる。

 真の狙いは、とにかくオリンピックを開催してしまえば、この国の国民は、政治のことは忘れるだろう、というものだ。次期総裁を狙っている菅総理にとっては、ここが一番の権謀術数の使いどころだろう。

 どんなにみじめなオリンピックであっても、開催してしまえば国民は絶対に政治や選挙のことは忘れてしまう。だからこそ、オリンピックは絶対に開催するという強い意志があるのだ。

 スポーツドクターは、募集以上に集まった。これは、オリンピック開催後に、オリンピックのスポーツドクターを務めたということで箔が付き、十分元が取れると踏んでのことだろう。だが、看護師はどうなるかわからない。菅総理の次にやりそうなことは、現代版「赤紙」の発行か、もしくは看護学生を動員する学徒動員のようなことだろう。自衛隊の投入という線もありかもしれない。

 ボランティアについても、辞退者は増えてくるものと思われる。利権のないところでは徹底的に手抜きをするというのも、この政府のやり方だ。ボランティアに配られるのが、ユニフォームとマスクに携帯用消毒液、体調管理ノートというのだから、まさしく現代版竹ヤリだ。これでコロナが防げるわけがない。そこで、ワーストシナリオを。

 世界中から人が集まるオリンピックの強行開催により、入国規制をするだろう。選手以外には、各国報道関係者、開催のための関係者も入国するだろう。日本人のようにすんなりいうことを聞く人ばかりではあるまい。選手以外は見張りもきつくならないだろうから、市中を彷徨う人が現れる。市中には無症状だが感染力を持った人が相当数いるため、無症状者から感染した人が選手に接近し、オリンピック会場全体がクラスター化してしまうという、というのが一つのシナリオ。この場合は五輪は開催期間中であっても中止となる。

 逆に、入国した人の中に感染者が紛れ込んでいた場合、市中で感染を広げる可能性もある。海外から持ち込まれた株が東京で変異を起こし、「東京五輪株」が誕生する可能性もある。

 オリンピックが無事終了しても人の流れは普段より多くなるので、終了後に感染者急増のシナリオも考えられる。こうなるともはや選挙どころではなく、総理への夢は潰えるのではないか。

 それにしても、オリンピック関係者には毎日PCR検査が実施できて、自国民への検査の数を絞るとは、日本とはいったいどういう国なのだろう。