月刊ライフビジョン | off Duty

最近、玩物喪志中

曽野緋暮子

 同年代の友人がスマホ決済の“お得”を何度も説明してくれる。「地域、期間限定だけどスマホ決済だと買い物が20%OFFになったり、200円割引があったりするし、更にスマホのポイントが貯まる。」「フツーでもスマホ決済だとポイントが倍になる。」等々。でも、スマホでの支払いって何となく怖いと思い踏み出せずにいた。しかし、世の中は確実にカード決済、スマホ決済に進んでいる。コロナ禍でどこにも行かず時間もたっぷりあることから、スマホ決済について調べてみようと思いたった。考えてみれば携帯電話でもスマホでも、料金はそれぞれで登録している口座からの引き落としなのだから、今さら銀行口座の情報が云々と思うのはおかしいと気づいた。

 次にどんな所で使えるのか、どんなお得があるのか調べようとスマホ決済のアプリをダウンロードした。次々と多くのサービスが表示される。しかし、ネットショップをしない、コンビニに行かない、外食をしない私が使える場面は少ない。なにより使えるお店そのものが身近には少ない。

 ところが最近、私がよく行くドラッグストアが対象店になった。お試しのチャンス到来。買い物に行く前日、携帯電話ショップでスマホ決済のレクチャーを受けた。「初めてのスマホ決済」には支払い金額の50%OFFと書いてある。「やったー!」

 ドラッグストアに出かけた。決済バーコードは5分ごとに更新されるのでレジの直前に確認しないと消えていることがあると言われ、スマホ片手にレジに並んだ。若者がコンビニ等でいつもスマホを見ていたのはこういうことか、と納得した。驚くほど簡単に決済は済んだが、しかし、スマホ決済をするとお店独自のポイントがつかない。当日は10倍ポイントの日だったが、50%OFFだから凄く得したと思っていた。ところが、返金は1000円分のポイントだけ。驚いて画面を見ると50%OFFと大きく書いてある字の下には「ただし、上限2000円の50%」と小っちゃな字で書いてあった。選りにもよって10倍ポイントの日に試したので、逆に損したナ感が強かった。でも、これも初体験の失敗として次に活きるだろうと自分を慰めた。

 若い友人が「おもちゃみたいな物だけど」と言ってSmart・braceletをプレゼントしてくれた。自分で購入するほどではないが「ちょっと欲しいなあ。」と思っていたのでとてもうれしかった。しかし、今どきのグッズは昔のようなマニュアルがない。各国語の最後に日本語のマニュアルが4頁ほど。それも縦7.5cm、横4.5cmの小っちゃな冊子で、頁をめくることさえ苦労する。電源がわからない、充電しないとスイッチが入らないのだろうが、充電方法がわからない。本体のベルト部分が外れることが分かったが、その次は? USBで充電するらしい。どこに繋ぐ? ネットで調べるが私の疑問は超初歩段階のようで、出てこない。マニュアルは有料販売となっていたが、ソレは嫌だ。あれこれ悩んだ挙句、スマホの電源で充電することができた。更に設定を続けようとすると、マニュアルにあるQRコードを読み込んでソフトをダウンロードしなければいけない。ダウンロード後には個人情報を登録しないと次に進めない。そこまでして使うことはないと思い、中止した。腕につけているだけで毎日の歩数、距離、消費カロリー、体温、心拍数、血圧、血中酸素濃度が計測できるとあるが、いずれの数値も信頼性が高くなさそう。日常的にそれらをきっちりと測定をしていない人ならば健康の目安にはなるだろう。貰い物で良かった。自費で購入していたらめちゃくちゃ悔しかったと思う。

 今の時代は新しいことに取り組もうとするととてもエネルギーが要る。紙の説明書があり、電源は乾電池をいれるかプラグを繋ぐ、それだけで目的が叶えられた時代が懐かしい!