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コロナ対策、管政権の一発逆転策!

司 高志

 現在の日本には神風が吹いている。ファクターXと呼ばれることもある。海外に比べて、国民の新型コロナに対する耐性が高いのだ。

 これをいいことに、前政権、現政権と新型コロナへの対策は何も行ってこなかった。自然現象で陽性が減れば、何もしなくても手柄に出来る。また、先に述べたとおり、政権は新型コロナをただのカゼと認識しており、なるべく何もしないようにしているのだ。

 そしたらさすがに、PCR検査陽性がどんどん増えたものだから支持率がダダ下がりしてしまう。「支持率が下がったからしょうがないな~」、とか「国民がうるさいからやったふりでもしておくか~」、といった案配で、緊急事態宣言を発出した。

 普通の神経の持ち主なら、夏に陽性が減っても、冬にぶり返すことは予想がつくから、何かしらの対策をするものだが、全く何もしなかった。

 この無策ぶりは筆者の想像を遙かに超えるもので、なぜこのような心理状態になるのかは理解不能であった。しかし、つい先頃ワクチン接種担当大臣が決まったのを見て、今まで何もしなかったことが不思議ではなくなった。何もしなかったのではない。ワクチンが打てるようになるまで時間を稼いでいたのだ。

 ワクチンで一発逆転を狙うシナリオは以下の通りだ。

 まずは、ともかくワクチンを打ちまくる。有無を言わせず、打ちまくる。これが重要だ。

 その後、ワクチンを打てば新型コロナによる重症化は起こらないと喧伝し、ただのカゼレベルになったといいまくる。これで、首相のホンネ、つまり胸の内と発言が乖離しなくなるので、今よりも自信に満ちて情報発信できるだろう。そうこうするうちに与党の岩盤支持層、首相の支持者を中心に支持率が盛り返す。

 新型コロナはただのカゼであるから、PCR検査自体は不要となり、検査をしなくするか、検査数を極端に減らす。これで、新型コロナ陽性者はいないことになる。ここでオリンピックを強行開催し、新型コロナに打ち勝ったと宣言する。その後衆議院選挙になだれ込む。これがベストシナリオ、必勝パターンだが、懸念材料はある。

 最初に、現在は神風が吹いていると述べた。だが、なぜ神風が吹くのか、そのメカニズムは不明なままである。日本人には予備的な免疫があるという人もいるが、確信に至っていない。

 神風のメカニズムが未解明なことを考えれば、現実世界を変にいじっていると、神風メカニズムが知らないうちに破綻するということが起こりうるのだ。つまり、ある日突然神風が吹かなくなる可能性があるということになる。

 神風が吹かなくなったときの影響がどれくらい大きいのか、“仮定の質問には答えられない”非科学思考の首相にとっては、想像も出来ないであろう。これが隠れた危険性だ。

 実際のワクチン接種に関しては、おそらくまたしても自治体丸投げで現場は混乱し、委託なんてことになるとまたぞろ、医師会ウハウハとか中抜き委託業者がごまんと発生するのではないか?