月刊ライフビジョン | off Duty

コロナ情報は管制でなく公開を

曽野緋暮子

 店頭からマスクや消毒液が消え、私自身が「コロナ」を認識した日からはや1年が経った。当時は品薄と言われたマスク探し、消毒液探しが大変とは言え、一過性のものと楽観していた。しかし今や、世の中は「コロナ」一色になっている。

 地域の第一号だけにはならないようにと妙な緊張感が蔓延していた私の地域にも、昨年12月初旬に出た感染者が今では10数名になった。一人目は40代女性。二人目は80代女性だった。市の広報LINEで最初に届いた「市長のお知らせ」では年齢と性別だけ。その後は風評被害とならないようにとの注意文言が長々と書いてあった。コロナ感染者は被害者なのに加害者のような扱いを感じた。

 風評を防ぐことは大切だが、もう少し感染状況等の情報がほしい。都会と異なり私達が住む地域では、PCR検査を受けるのも診察を受けるにも、隣の隣の市まで行かなければならないと聞いていた。感染者が出たからには医療体制の情報がないと不安だ。万が一罹患した場合どうすれば良いのか。保健所に連絡して、市内に病院があるにも関わらず隣の隣の市まで行かなければいけないのは納得がいかない。また、こんな狭い地域で感染ルートがわからないのも不安を煽る。80代の女性となると病院で感染したのか、介護施設だろうかなどなど、同年代のおばさん達で盛り上がるが、架空の話で堂々巡りだ。市の福祉関係OBで情報通の人に聞いたが、その情報元も口が固くて教えてくれないという。自分が感染した時に対処するためにもちゃんとしたことが知りたい。

 直接市役所に問い合わせても広報LINE以上のことは教えないだろうと、知り合いの市会議員経由で市役所に問い合わせて貰った。すると、コロナ関連は全て県が仕切っている。従って感染者の情報も、PCR検査の窓口、病床等の医療関連情報も、県の発表通りのことしか伝えられない、との回答だったという。確かに保健所は県の管轄だが、市が関わっていないとは思えない。現にテレビでは市長がコロナ関連の記者会見をしている所もある。まあ、公式に聞くとそれ以上のことは言えないのかなと一旦は引き下がる。

 数日後、市役所の幹部職員が自宅の庭の手入れをしている所に出くわした。これはチャンスとばかりに、「コロナ感染者が出たけど入院する所あるのかな? 介護の手伝いに行くにしてもPCR検査で陰性証明を貰うのに、どこに行けばよいのかなぁ。80代女性ってどんな所で感染したのかなあ。女性達の間で結構問題になっているよ。」等々おばさんトークで探りを入れた。

 翌週、市の広報LINEで一日10名限定のPCR検査が自費で受けられるようになりました。病床は2床確保してあります。と市長のお知らせがあった。ちょっと安心。

 とは言うものの、自己責任の感染予防策は怠れない。手洗い、マスク、三密を避ける、消毒は当たり前。さらに健康の基本はラジオ体操だと思い、朝6時25分からのテレビ体操を加えた。ところが、テレビ体操は土日祝日も休まない、従って私も休まない。これが結構キツイ! 毎朝の体温測定に加えてパルスオキシオメーターで血中酸素濃度を測る。次々増えていく日々のルーチン、どこにも出かけない、誰も来ない生活だから規則正しくこなせているが、いつまで続くのか?いつまで続けられるのか?

 息抜きで友人と自宅で食事ぐらいしても良いかなと思っていたら、昨日のニュースで「宅飲みクラスター」との新語を聞いた。独酌でいっぱいやるしかないっか。