月刊ライフビジョン | off Duty

Gotoキャンペーン、使いたい!

曽野緋暮子

 朝のゴミ出しでママ友さんとバッタリ。半年ぶり! 朝のゴミ出しは微妙な時間のずれがあり、ご近所と言えども中々、出会うことがない。シルバーウィーク明けで、コロナ感染への警戒心がちょっと緩んでいたことも手伝って、マスクをしたまま立ち話。

 「離れて暮らす娘にも孫にも会わないよね~。春休み、GW、夏休み、全然帰ってこないし、行けないし。」「新幹線にも全然乗っていないし。」「娘の夫がリモートワークでずっと家にいて、食事が大変っていうので毎週地元の野菜を宅急便で送っているのよ。」「ランチも全然行ってないわ。」うんうんと私。皆一緒なのだ。

 話が続く。――母が施設から病院に移ったんだけど、様子を見にも行けない。介護者として登録している姉だけが、病院に短時間は入れるの。リモートで話をしようと思っても母一人では操作ができないし。今の状態が続くなら、もしもの時は姉妹だけで家族葬かなあと話しているのよ。――いずこも同じだなあ。

 先日同期の友人から電話。10年前に長男である夫の母親を引き取った。日々ストレスとの闘いだったが、今年の7月に亡くなられた。最後は病院で、ここは一切面会禁止だったとか。夫の弟は横浜在住、子供たちは京都、福岡、親族は全員四国と言うことで、親族たちの了解のもと、葬儀会社のアドバイスに従って夫妻二人きりで見送ったそうだ。四十九日は納骨を兼ねてお墓のある四国に行ったが、その時も夫妻二人だけで済ませた。以前に四国で、東京からの葬儀参列者からコロナ感染が出る騒ぎがあったこともあり、地元の年寄り達からも文句は出なかった。「お義母さんは寂しかったと思うけど、私はラクだったよ~」確かに、【嫁の立場】だとそうだよね。

 通夜、葬儀で列席者に対する気遣い、たちは(立飯=故人を囲む最後のお膳)に付随する準備が要らない。親族への寝食のお世話がいらない等々、本当にラク! ゆっくり故人のことを考える時間も取れる。

 その一方で困っているのが相続の手続き。電話やリモートで話はできるが詰めの部分が対面でないと難しい、と夫が頭を抱えているそうだ。コロナ感染による新しい生活様式のひとつに、葬儀の様式も加わるだろう。葬儀関係者が以前に戻そうとしても、当事者だけで進められる新しい様式はこれから拡がるのではないだろうか。相続手続きも印鑑不要とか、変わっていくのだろうか。

 こうしてしめやかに暮らしているところに、川崎在住の友人からLINE。Gotoトラベルキャンペーンを使ってそちら方面に旅行する。途中どっかでお茶しませんか?って。7月にもGotoキャンペーンを使って東北の温泉を楽しんだそうだ。感染者ゼロ地域での第一号にはなりたくない、と緊張の日々を送っている人間には考えらない気軽さだが、今まで我慢したのだからここで感染してはいけないと思い、「当日予定あり」とお茶タイムはお断りした。『居住地域差別の加害者』と言われるかもわからないが、リスク管理の一環だと思いたい。

 テレビで芸能人が言っていた。「スケジュール帳に書いてあるのは体温だけ」って。私のスケジュール帳も、10月になったらインフルエンザの予防接種、とだけ。

 あぁ、外に出たい!! Gotoトラベルキャンペーン、使いたい!!