月刊ライフビジョン | off Duty

感覚ズレもまた楽しからずや

曽野緋暮子

 久々に同期でランチ。恒例の年金、子どもや孫達の話と流れて、ペットボトルが話題になった。M子が「娘はお金がないないと言いながらコンビニでお茶や水のペットボトルを買う、それも出先用だけでなく家で飲む分も買ってくるのよ。家では冷蔵庫に麦茶やアルカリイオン水を冷やしているし、温かいお茶だって飲めるのにもったいないと思わないのかしら。」K子も「うちもそうだわ。私は家で沸かした麦茶や水をペットボトルに入れて持ち歩いているけれど、娘はペットボトルの使い回しは不潔だと言うのよ。ボトルが茶色になるまで使い回すわけでもないし、2~3回使うぐらい良いと思うけどね~?」「そうそう、家で沸かさなくてもスーパーで2ℓ入りを買えば割安だよね。500mlペットでもスーパーで買えば絶対安いのにね。」と私。お茶や水は今や嗜好品に格上げで、必要な時に必要な量だけ購入するのが若い人流なのかな。
 続けて話題はATMの使い方に。
 今は預金利子が無いに等しいのにATMの引出手数料、振込手数料が気にならないことが全く以って理解できないという話になった。平日の手数料無料時間帯に引き出しや振込をすれば良いのに、夜間や日曜日等手数料が高い時間帯に平気でATMを使う。「娘に1回210円の手数料を取られたら10回で2100円よ!もったいないでしょ、と言ったら、余分にお金を持っていると使っちゃうから必要な時に必要な金額だけ引き出すの。無駄にお金を使うこと考えたら手数料は問題じゃない。」と言われ、何で無駄がわからないのかなあとM子が嘆く。そう言えば、若い人と一緒の時、支払い時に「あっ、ちょっと待ってください。お金を出して来ます。」と言う場面に良く出会う。そう言えば、我が家の娘も中身のない財布を持ち歩いているなあ。こちらも必要な時に必要な金額だけ引き出す流派なのか。
「話はちょっとズレるけど、この前驚いたことがあったのよ。」とK子。娘に頼まれておむつを捨てる時に使うビニール袋を買うために子供用品専門店に行った。指定された物を値段も観ないでレジでお勘定。「2,041円です。」と言われ、思わず叫んだ「はあ~、これがそんなにするんですか?」。B6サイズのビニール袋200枚で2000円、1枚10円の袋を毎回、おむつと共に捨てるの?? 確かに棚の価格表示はそうなっている。帰宅して娘に確認すると「臭いが全く外に漏れないし、菌もシャットアウトするので重宝している。恥ずかしいから店先で騒がないでね。」と諭されたそうだ。
 確かに今の若い人達は消臭にとても気を遣う。テレビでも消臭剤関連のコマーシャルが多くある。お金がないないと言いつつ消臭グッズに関しての投資は惜しまないようだ。そう言えば自分が定年間近のころ、同期の女性が若い社員から「加齢臭が…」と冗談半分に言われて、ショックを受けていたなあ。今の時代は加齢臭対策をしていないと、若い人に相手にして貰えない(笑)。
 金銭感覚のみならず、若い人達とのズレをひしひしと感じるようになってきた。私達が着実に年を重ねている証拠なのかなあ~。でもズレている者同士でお喋りできるって、楽しいンだなぁ~。