月刊ライフビジョン | off Duty

なんとチマチマ、息の詰まる日々よ

曽野緋暮子

 非常事態宣言解除が出た。5月25日から幼稚園、学校再開で我が家の前の通学路をマスク姿の小学生達が歩き始めた。朝は先生に言われているのかお喋りもなく一列で黙々と歩いている。帰りは登校班ではなく、各学年がバラバラで帰るからか元気のよい話声が響く。少し日常に戻った感じで、ちょっとホッとする。

 ここ数ケ月を振り返る。

 不要不急の外出禁止だが、外の空気に触れたいということか、老若男女問わず散歩をする人が増えた。我が家の周囲の道は散歩にちょうど手ごろらしく、今まで見たことのない人が朝早くから歩いている、ご夫婦で一列になって歩く。テレワーク中なのか働き盛りの男性が犬を連れて歩く。小っちゃい子ども連れママが歩く。近所の人なのか、ちょっと遠くからの人なのかわからない。

 家の前の道は今までも小学生が歩いていたが、裏の道はほとんど通る人がいなかった。庭の手入れと言えば、季節の変わり目に花壇の植え替えや、側溝の防虫剤噴霧、風雨が激しかった後に落ち葉等の掃除をする位だったが、通行人が増えてみると、我が家を眺めている人なんていないと思いつつ、道から見通せる花壇の手入れ、草取り、両脇の道の掃き掃除が毎朝の日課に加わった。

 マスクの品薄は、コロナ前のように1箱50枚入り498円なんて価格にはお目にかからなくなり、1枚60円~70円が相場になったようだ。最近は異業種のマスク製造参戦などで落ち着いて、ドラッグストアでもスーパーでも入手可となっている。第二波のために購入しておくか悩ましいところだが、ミズノやユニクロもマスク生産を始めるらしいので、購入は踏みとどまっている。

 マスクと同様に品切れしていた除菌関連商品は今でも品薄だ。最近はアルコール除菌ではなく、次亜塩素酸液で除菌をとの流れになっているようだ。市役所で次亜塩素酸液を作って1回に500mlペットボトル1本分を配布している。約2週間で効力が切れるらしい。と今度は、これを噴霧するための容器が品切れ。アイロンかけに使っていたスプレー容器も姿を消した。もともと需要少ない物を皆が一斉に使うから、あちらこちらで品薄品が出るんだなあ。

 今、全く姿を見ないのが体温計。「熱っぽいかなあ」と思う時しか出番はなかったが、今は日常的に検温するし、病院でもお店でも体温を測る。これまた需要と供給が大きく崩れた物のひとつだろう。知り合いの電気屋さんによると体温計用の電池が不足しているとか。「うちのような個人商店にも問い合わせがあるんだから本当に無いんだね。東日本大震災の時の電池不足を思い出すよ。」

 買い物に行ったついでに除菌コーナーの棚を見回ることが習慣になった。アルコール除菌液を見つけるとすぐに友人に連絡することも当たり前になった。(酒造会社製のアルコールには手を出さないことにしている)

 あ~、なんと息詰まるようなチマチマした日々を過ごしているのだろう。自宅と日常の買い物だけの狭い空間での暮らしに慣れてしまうと、本物の出不精になってしまう。第二波が来るまでの束の間に里山にでも出かけよう! あ、少人数で、昼食は横並びで、応援している白河製夏用布マスクをして…