論 考

香港問題の心配

 27日に、トランプ氏が署名した香港人権・民主主義法案は、香港政府への抗議活動を明確に支持する内容である。法案が議会に提出されたのは6月であった。米議会の総意であることはまちがいない。

 一国二制度や民主主義が侵されていると判断した場合、貿易上の制裁など咥えられる。催涙ガス・ゴム弾・スタンガンなどを香港警察へ輸出しないことも定めた。デモなどで弾圧された市民に対する米国へのビザ発給を認めることを促進する内容もある。

 中国は、同法案が中国の内政干渉であり、覇権的行為であると猛反発している。形式的にはその通りである。

 香港の高度な自治が今後どのように維持されるのか。そもそも一国二制度は、いまのような紛争を前提したものではない。時間をかけて香港返還の円滑的な結末を目指していたはずである。

 アメリカが現状の一国二制度と、民主派支援に乗り出したのが、問題解決のために効果的かどうか。プレーヤーが増えて、しかも米国対中国という構図を押し出したのは、むしろ中国の強硬姿勢に拍車をかけるのではないか。問題がさらに複雑化するのが心配だ。