論 考

イギリス下院総選挙の行方

 イギリスの総選挙情勢は、意識調査によると議席650のうち、保守党が366を獲得する流れらしい。

 ただし、野党支持者が、争点をEU離脱に絞り込んで戦略的投票をすれば、保守党は309議席にとどまるという読みである。

 選挙戦で、各党はマニフェストを掲げているが、当然ながら、EU離脱問題に賛成か反対かだけを掲げているのではない。たとえば環境対策などでは、労働党が「緑の産業革命」を掲げて、2030年までに再生エネルギーなどで脱炭素の割合を90%にするという意欲的な政策を打ち出した。また、いずれの党も緊縮財政を転換して景気浮揚を狙う公約である。

 保守党は、EU離脱について2020年末までにEUとFTA(自由貿易協定)を締結すると公約しているが、これは実質的に強行離脱と同じになると危惧する識者もいる。FTA交渉が、イギリスが期待するように簡単にまとまるものではないし、もし、拙速にまとめればイギリスが自分で自分のクビを締めるのと同じだと警鐘を鳴らしている。

 こうした考え方についてイギリス国民がどんな反応を示すのか。