論 考

酒精の文化

 スコッチウィスキーの大本山イギリスでノンアルコール飲料や低アルコール飲料が急増しているというフィナンシャルタイムズの記事を読んだ。

 イギリスの全アルコール飲料市場は415億ユーロ(5兆円)、2018年から22年にかけて蒸留酒は年率1.2%増加だが、ノンアルコール飲料は年率80%伸びる見込みだという。(もちろん、まだ全体量は微々たるものだが)

 ノンアルコール飲料といっても安価なものではなくて、見てくれは高級ウイスキーと変わらず、価格も1本28ポンド(3,920円)もするという。

 消費者の53%が飲酒量を減らしたいと考えているそうだ。25~34歳では2/3が減らしたいという。やはり、健康生活への関心が最大の理由らしい。18~19世紀には粗悪なジンが大問題であった。

 「Dry January」という言葉があるそうで、新年の1か月にアルコールを断とうとする人が少なくないともいう。日本流なら、新年に一念発起して「断酒」と書初めするようなものだろう。

 坂口謹一郎博士(1897~1934)は、「好い酒を造るのは醸造家であるが、好い酒の文化を作るのは消費者である」と名言を残された。イギリスからどんな新しい酒の文化が登場するのだろうか。