論 考

英国下院総選挙へ

 昨日、英国下院は、12月12日に総選挙をする法案を可決した。12月6日が解散になるが、その前5週間が選挙運動期間である。

 解散に反対していた下院が賛成に動いたのは、労働党が賛成したからである。労働党議員で解散に賛成したのは議員240人中127人・棄権100人・反対20人以上である。

 支持率は、ジョンソン氏の保守党が30%台、労働党が20%台で、労働党は総選挙を嫌っていた。また、党員と大半の議員はEU離脱反対である。

 少数党の自由民主党とスコットランド民主党も離脱反対派だが、早期解散に動き、それが引き金になって労働党も解散に賛成した。

 いまの議会の行き詰まり状態からして、労働党は、合意なき離脱がなくなったことから、総選挙に賛成したという。

 労働党コービン党首は強気だが、労働党の大半は支持率が保守党に10%差をつけられているので、もともと解散はしたくなかった。

 ジョンソン氏は選挙に勝利して、EUとの協定案に基づきEU離脱へ走りたい。総選挙の争点はEU離脱だけではないが、いままでのいきさつからして、今回の選挙は、3年前の国民投票と似たような、つまりEU離脱の是非を再度問うものになりそうである。

 外電を見ると、コービン氏の不人気が一貫して指摘されている。そうすると保守党が勝利して、ジョンソン氏の思惑通りになるか。あるいは、この3年間の政権与党保守党の混乱ぶり(古参党員21人除名もある)を批判して、この際、EU残留派が巻き返して反保守党の機運が高まるか。

 ジョンソン氏の低俗な振る舞い、「嘘とズル」だという批判も強い。

 9月17日に、Brexit強行突破をめざすジョンソン氏が5週間の閉会を打ち出したことに対して、最高裁が違憲判決を出した。そこからのイギリス議会は外目にはもたもたしているようであったが、「見えざる手」に導かれて、再度の国民投票(総選挙)に到達したようにもみえる。