論 考

原発疑惑

 地元の建設会社から、手数料名目で3億円の支払いを受けた福井県高浜町の元助役森山栄治氏が、関電経営陣20人に、2011年から18年にわたって中元・歳暮・就任祝いなどで3.2億円の金品を贈った。

 森山氏が町の収入役を務めたのは1975~77年、助役は77~87年。関電高浜原発は1975年に1号機に着手し、74年営業運転開始。2号機が75年営業運転開始。3号機、4号機が85年に営業運転開始している。

 金沢国税局が、森山氏への税務調査をしたことから発覚した。

 関電社長の岩根茂樹氏は、「受け取りを拒んだり、返却を申し出たものの強く拒否されるなど返却困難」であったと語った。顔役の顔を潰せないということであろう。

 それにしても、手数料なるものがなぜ森山氏に支払われなければならないのであろうか。2011年からというが、森山氏が現職で辣腕を振るったのは1987年で終わっている。いったい、いかなる意味の実力者だったのか。

 森山氏の現役時代はどうだったのか。さらに、助役辞任後から2011年までの24年間に何もなかったとも考えにくい。

 原発に巨大な利権が絡んでいるというのは、昔から指摘されている。原発を設置する側が地元へおカネをばらまくというだけではなく、地元からも接置する側へおカネがばらまかれるという構図が浮かび上がった。

 岩根氏は「社会に多大の心配をかけたことを深くお詫び」したが、意味不明のお詫びである。この報道に接して、社会は心配したのではなくて、常識的には怒っているであろう。

 亡くなった人に聞くわけにはいかない、というわけにはいかない。