論 考

勉強しなければならない大きな課題

 世界の債務額は180兆ドル、そのうち日本は18兆ドルであるらしい。世界経済は間違いなくバブルだ。

 トランプ氏に限らず、政治家は中央銀行が金利を引き下げることを要求する。経済動向が人気に直結しているからである。

 しかし、金融の数字と実物経済は違う。

 先進国経済は1974年をピークとして、いわば長期停滞の流れにある。その真実を隠してきたのが金融動向である。

 日本企業は内部利益が463兆円ある。強欲に溜め込んできたのであるが、実は投資できないのである。

 世界の金融セクターは1980年代以降拡大の一途を辿っているが、実物経済が拡大したのではない。金融技術が利益を生むのではない。ということはアブク銭が拡大しているだけである。実体経済と無関係に金融が肥大化している。

 世界中の格差問題は、実体経済と無関係に金融が拡大したことと深い関係がある。しかも、資本家・経営者は社会を改良することに積極的ではない。

 国内政治といえば、巨大与党と弱小野党という対置がつねに話題になるが、政治が実体経済に対してなんら打つ手がなく、表面的な帳尻合わせばかりやっている。誰も将来がわからないのだ。

 産業革命によって資本主義が本格化した。そして賃金労働が発生し、強欲な資本家に抗議行動を起こすところから、今日の労使関係へ至った。

 今日の金融資本主義は、本来価値を生まない金融が経済の中心にあることによって、実物経済を担うはずの労使が的確な手を打てなくなっている。資本主義は発生期以来の深刻な事態に直面しているのではなかろうか。