論 考

有志連合構想は事態を悪化させる

 9月16日、米国主催のホルムズ海峡民間船舶護衛に関する有志連合構想の会議に日本も参加したらしい。

 大事な石油を運搬するタンカーなどの安全を保護するためだという提案であるが、さて、冷静に考えることが大事だ。

 民間船舶の船員の立場からは安易に賛成できないであろう。なぜならば、民間船といえども軍事的護衛がつけば軍事行動の標的とされるからだ。

 日本のタンカーの9割はパナマ船籍の便宜置籍船で船員は比人が多い。

 便宜置籍船(flag convenience ship)というのは、事実上の船主の国と異なる国に船籍を置く船である。「Open registry」という。外国船籍の船による船籍登録を認めている。

 露骨にいえば、節税対策と乗員に自国の労働規制が適用されないから安い労働条件で雇用できる。何か問題が発生すれば、極めてややこしくなる。

 本当に安全航行を望むのであれば、アメリカは、イランとの核合意に戻ればそれで解決だ。アメリカが問題を起こしておいて、他国を巻き込んでいく戦略に乗ることは、事態鎮静化どころか、火種に着火することになる。

 有志連合構想に乗るべきではない。