論 考

共通する環境破壊

 トランプ「グリーンランドを買いたい」発言に対して、フレデリクセン首相が「馬鹿げている」と応じ、トランプ氏は9月2日からのデンマーク訪問を取りやめた。

 第17代大統領のA・ジョンソン(在1865~1869)、第33代H・トルーマン(在1945~1953)のときにも買収を画策した前例がある。

 デンマークの自治領グリーンランドは面積217.5平方キロメートル、日本の約5.8倍、その80%が氷に覆われている。人口は5.6万人、90%がカラーリット(エスキモー)だ。漁労・狩猟などで暮らしている。

 買収の狙いは、推定埋蔵量3,850万トンといわれるレアアース、ウラニウムやフッ化物もある。第2次世界大戦以来の米軍基地、大レーダーもある。モスクワまでの距離は約4,000kmである。

 商売的・政治的思惑に対して、グリーンランドの人々は自然を破壊したくないという気風が強い。北極の氷がどんどん溶けている。

 ブラジルのアマゾンで膨大な密林が燃え続けている。農林関係で地球全体の温室効果ガス排出は23%を占める。ブラジル政権の開発志向におおいに批判が集まっているなかでの大火災である。

 世界をいかなるキーワードで考えるか。大変重たい問題ではあるが、商売と自国(自分)第一主義の視野しか持たない政治家が、環境を破壊することにかけても才能を発揮することだけは間違いない。