憲法を真摯真剣に論議することには大賛成である。
ただし、首相職にある者が、憲法改正の旗を振るのは正しくない。なぜなら、行政は、憲法に忠実に仕事をするのが憲法による定めである。
自分が従うべき憲法を自分の趣味嗜好によって変えるのであれば、すでに独裁者である。
立法・行政・司法の三権分立は、権力が集中して強権政治、権力濫用にならないように、もって国民の政治的自由を保障するためである。
三権のなかで、とりわけ国民生活に密着するのは行政である。三権分立の均衡が壊れて、行政に権力が集中するのは非常に危ない。
また、行政には「秘密」が多い。権力と秘密が癒着すると、国の舵取りは極めて剣呑な存在になる。
安倍氏に憲法改正をさせないというのは、政治的思惑ではなく、憲法に則った行政の長でないからである。