みんなのコラム

新元号に異議あり

偏屈子

 「令和」というのはどうも好きになれない。

 令の字には、「よい」とか「りっぱな」という意味もあるが、現代での使用で真っ先に思い付くのが、命令の令である。平成が水平的な感覚とすれば、令和は、「おとなしく和していろ」、という垂直的な感じがする。いわゆる上から目線というやつである。

 これは「よい」とか「りっぱな」にかこつけて、「令」の字が使いたかったあのお方の意志によるものであろう。

 于時初春令月氣淑風和梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香

 書き下し文: 時、初春の令月にして、氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。

 現代語訳: 時あたかも新春の好き月(よきつき)、空気は美しく風はやわらかに、

 梅は美女の鏡の前に装う白粉(おしろい)のごとく白く咲き、

 蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている

 これが、どうして総理が説明すると、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」と、なんでこうなるのか意味不明。「令」の字を入れた真意を薄めようとしているようにしか見えない。

 美しい国日本などと言っているあのお方には、「巧言令色少なし仁」がぴったりだ。