論 考

骨牌的大博打は続く

 トランプ氏が、内輪、つまり支持者の集会で威勢よく、かつ上品でなく大放談をやった。いわく、

 「あいつら病気だ。すべてが嘘で、奴らもその嘘を知っていたのだから、責任をとらさねばならん」

 正しくは、すべては嘘ではない。モラー報告書は、考え抜いたものだと、わたしは思う。ロシアの大統領選への介入はあり、大統領候補がそれと結託していたと結論するには、状況証拠は黒だが、絶対という決め球がないから、慎重に対処したのである。

 司法妨害のほうは、コリー元FBI長官による証拠からは黒である。これも、あえて有罪と決めつけなかったけれど、無罪ではないとした。

 大統領の犯罪ということになれば天下の一大事である。高度な政治的判断をしたと見るのが妥当である。

 トランプ氏は、モラー報告書を「ridiculous bullshit」とやった。公開の場では使わない表現で、(雄牛の)クソみたいなデタラメの意味だ。しかし、その報告書で一時的に救われたことに感謝するべきだ。

 ここまで罵倒するのは、ニューヨーク州などで、依然として大統領の座に直結する疑惑や、トランプ企業の行動の怪しさに関して捜査中だからである。

 トランプ氏としては、とにかく景気をつけねばならない。いまを乗り切るしかない、乗り切れば、後は野となれ山となれだ。正面突破作戦を続けるしか道がないというわけでもある。