論 考

引き際が肝心だ

 さまざまな組織分野のトップで長期政権を担う人がいる。これは、実際大変なことであって、凡人にはできないことだ。

 その人がトップに座っていることで周囲が丸く収まるのは、周囲の人々にとっても居心地がよろしいわけだ。

 しかし、長期政権は一方で、育ってきた芽を(悪意がなくても)摘み取っている面がある。新しいものが登場せず、保守化しやすいことも少なくない。

 トップは、一朝事あるときの采配の振るい方が肝心である。JOC会長が退任するのは定年の規定によれば、当然である。

 なおかつ、五輪招致で大疑惑を招いているにもかかわらず、責任者としての采配が疑惑を膨らませるのだから、仮に従来名指揮者であったとしても、すでにアウトである。取り巻きにも力がないわけだ。

 その点、安倍氏の場合は、十分すぎる疑惑の頂点に立ちつつ、取り巻き並びに官僚機構が手練手管を弄して大将を守っている。

 とはいえ、こちらも極めて不安定な事態に入っていることは否定できない。