論 考

労働記者はどこへ消えた!

 1980年代まで、各新聞社には労働問題に詳しいベテラン記者がおられた。しかし、昨今は、しかるべき記者が見当たらない。どこかに蟄居しているか?

 世間には労働問題はたくさんあるから、取材して書くべき記事がないのではなかろう。書かれた記事をみると知識が薄く、思索が深まっていない。

 たとえば、本日の読売社説だ。見出しが「春闘労使交渉 中小に賃上げの恩恵を広げたい」とある。

 賃金引上げを恩恵と書くなど、論外である。恩恵というからには、経営者が与えるのであろう。これでは、敗戦までの「(経営者が)働かせてやる」「(労働者が)働かせていただく」関係と等しい。

 賃金は、労働力の売買契約であり、経営と労働が対等に契約するものであって、恩恵というような言葉は頓珍漢すぎる。

 どうも、「賃金とは何か」について理解しておられないようだ。なんをかいわんや。