論 考

見えざる手!

 イギリスのEU離脱(ブレグジット)が依然混沌としている。

 メイ首相を支える保守党の閣僚が、合意なし離脱ならば大挙辞任するという事態を招いている。そうなれば内閣は瓦解するし、国政は成り立たない。

 労働党は政権を取れば、再度国民投票を実施すると公表した。

 この流れは総選挙をするということになるが、そうすると3月29日のEU離脱予定日は必然的に延長せざるをえない。

 いわば意思決定機構が機能していないから、筋論でいえば解散総選挙しかないことになる。

 A・スミスが『諸国民の富』(1776)を発表して243年である。スミスは、国家のさまざまな諸規制が有害だという立場を表明していた。重商主義にも反対の立場であった。

 スミスの先見性からすれば、ブレグジット自体がナンセンスだと喝破したであろう。神の見えざる手によって! イギリスはブレグジットの罠から脱出することができるであろうか?