論 考

露骨の文化?

 外国人労働者が昨年10月時点で、146万人を超えた。その10年前は49万人であったから、ほぼ3倍に増加した。

 外国人技能実習生の処遇が取り沙汰されているが、三菱自動車では溶接作業のはずが組み立て作業をさせていた。パナソニックでは長時間労働から自殺が発生したなどから、技能実習生の受け入れが向こう5年間不可となった。

 企業内の事情は外部にはわからないが、これらは氷山の一角であろう。

 そもそも各現場は人手不足を訴えている。せっかく新人が入ってきても十分な指導ができないという苦情はいずこの職場でもよく聞かれる。

 本来、外国人技能実習生は一種のお客さんだ。国の大計からすれば、途上国の皆さんの実務的能力を育てることを通じて、「日本ファン」を作っていく心がけのはずである。

 年間数千人が失踪するような外国人技能実習制度の運用は、丁寧にやっている企業があるとしても、とてもじゃないが信頼できない。

 日本人的「恥の文化」といえば、(本心は別のところにあっても)少なくとも他人の目を気にするという意味があったが、どうも昨今は本音が露骨になっているみたいである。