論 考

ナンセンスで危険な競争

 昨年1月25日、Dooms day Clock(終末時計)の残り時間が2分だと発表された。

 同2月2日には、米国防省が核戦略報告書で「核態勢見直し」(Nuclear Posture Review)を発表した。核兵器の数を減らし、その役割を減らすという方向に反対して、ますます核兵器態勢を強化するという。

 同12月26日、ロシアが、米MD(ミサイル防衛)では迎撃できない極超音速ミサイルシステム「アバンガルド」(前衛?)を2019年に配備すると発表した。

 そのロケットは音速の5倍マッハ20(6,629m/秒)で飛ぶ。弾頭部分が滑空して低飛行可能だからレーダー網をかいくぐるというわけだ。

 軍拡競争に勝利はない。こんな当たり前のことは、大戦争直後はどなたもが頭に叩き込んでいるのだけれど、それから橋の下をたくさんの水が流れるにつれて、人間としての真っ当性も流れていくらしい。

 軍拡競争には未来がない。