論 考

油断ができない

 アメリカ予算局(CBO)が、核兵器の近代化と維持を掲げて、向こう30年間に1.2兆ドルの予算素案を提出した。

 戦争を想定すれば安いものだというのである。自分の懐ではないから豪勢なものである。

 いったい、いかなる戦略を構想しているのか不明だが、力こそすべてだという発想は、どう考えても出口がない。

 昨日、広島で会見した核兵器廃絶キャンペーン(ICAN)事務局長のベアトリス・フィンさんの「いま、この瞬間に日常が終わり得る」という言葉が、わたしの耳に響いてくる。

 昨年1月19日オバマ氏は大統領職を去るに際して「幅広い見識をもった市民がデモクラシーを守る」とスピーチした。

 実際、この1年、「脳不足」が権力頂上に座って、よくぞ世界はドンパチにならなかったものだ。