みんなのコラム

笑いの原点

伊東正人

 先日、孫娘のバレエ発表会を見に行った。4,5才から中年世代まで、幅広い年齢層の女性たちがさまざまなジャンルのダンスを披露していた。年配女性たちのエレガンス、若い女性たちのヒップホップなダンス、母と娘の慈愛溢れる舞、唯一の男性ダンサーの力強いリフトや軽やかなジャンプ、多彩な内容に驚く。

 その中で一番心を奪われたのは、プログラムの最初の演目。おさな児たちが天使のような衣装に身を包み、セリフも無く、ただその身体のみを使って笑顔で、一生懸命何かを表現しようとしている。

 ただただ愛くるしい、可愛い…でもふっと、彼女たちの踊りがなぜか土俵上のお相撲さんの仕草に見えてしまった。こうなると、ここは寄席ではない、笑ってはいけないと思っても、もうどうにも堪えられない。ある目的を持った表現が、全く意図しない別の効果を引き出す、これこそ笑いの原点であると感じ入ったものだった。ごめんね、天使たち。