論 考

イギリスの教訓

 イギリスのEU離脱交渉が思わしく進まないようだ。

 EUとの交渉が順調に捗らない最大の理由は、イギリス国内の見解不一致にあるらしい。国内で、離脱方針を巡る論議が収斂するのではなく、イライラが高まって、国民投票当時のような荒っぽい主張が目立っている。

 強硬離脱派は、ノーディール(=交渉決裂)で「悪い取引ならしない」という極論を振りかざしている。

 経済界は離脱の影響を独自調査しているが、財務省がおこなった「影響評価」を公表せず、国内世論が紛糾するような事態へ向かっているなか、政府にEU離脱の合意と明確さを求める要求文書をまとめたとも報じられた。

 世界経済が順調という見方もあるが、なんといっても明らかに金融バブルにあるわけで、イギリスのEU離脱問題は他人事ではない。

 問題にぶつかったとき、冷静に、精緻に、丁寧に、論議を組み合わせていくことが極めて下手くそなわが国に思いを馳せると、さらに他人事ではないという心地がしてならない。