論 考

本当に本当の問題

 わが国の潜在的成長率は、OECDによると0.7%で、好ましくない。

 大企業の不祥事が続く。ものづくりの国際的信用が大きく落ちた。

 1950年代後半から、60年代にかけて、日本製品は「安かろう・悪かろう」という国際的評判だった。

 わたしが機械設計職場に入った60年代前半、当時のハイテク最前線の大口径パラボラアンテナに挑む面々は、なんとしても世界市場で評価される製品を作ろうという気概に燃えていた。

 70年代には足場が固まったという自信が湧いた。

 昨今、企業不祥事がおこる原因は、いろいろさまざまあるだろうけれども、大きくは金融が支配する経済になって、1つひとつの製品が信用という価値を生み出しているという基本中の基本を見失ったのではないか。

 いま、株が上がっているけれども、わたしにはバブルにしか見えない。

 意味不明の「人づくり革命」だとか、「働き方改革」などを掲げているが、職場に入って見よ。活気に溢れた職場が多いだろうか?

 過剰な復古調イデオロギーに塗れた政府与党が続く限り、わが国の経済力はどんどん落ちていく。

 少子高齢化が問題ではないのだ。それは与件に過ぎない。活気ある職場を再建しなければ、絶対に未来は輝かない。