論 考

自分で追い詰める

 昨日、日本記者クラブ主催の党首討論会で、モリ・カケ問題の質問をうけて安倍氏は「李下に冠を正さず」を二度口走った。

 この言葉は、よく知られているように文選(古楽府 君子行)の、

 ――瓜田不納履 李下不正冠――

 瓜畑では靴を履かない。瓜を盗むと見られてはいけないから。李の木の下では冠を正さない。李を盗むと見られてはいけないから——というのである。

 そして、その前には、

 ――君子防未然――

 君子は事が起こらぬ前に、事が起こる弊害を防ぐとある。

 さらに補足すれば、そのように見られてしまった自分が悪いのだから、下手な弁解はいたしませんという潔さがほしい。君子であれば。

 ところが君子でない安倍氏は「動かぬ証拠を出せ」といわんばかりの反論を試みるものだから、限りなくブラックに近いと見ている人々にすれば、安倍氏に対する不信感がますます募るでありましょう。