論 考

和して同ぜず

筆者 小川秀人(おがわ・ひでと)

 「子曰、君子和而不同、小人同而不和」(しいわく、くんしは わしてどうぜず、しょうじんは どうじてわせず)。言わずと知れた『論語・子路』に由来する名言だ。君子(立派な人)は、人とは仲良くするが雷同することはない(いたずらに群れない)。小人(打算的な人)は、すぐ雷同するが(群れるが)、大切な時に協力しない。

 2500年前の言葉が痛烈に現代の世相を斬る。先の衆議院選挙などはその最たるもので、著しく勝負勘に乏しい小人をリーダーに持つ組織は悲喜劇的だ。すでにメルトダウンしてしまった組織がどこと合同しようと結果は見えている。もっとも、それを分かった上で支援しなければならない応援団もまた、それ以上に悲喜劇的ではあるが。

 さすがに扱いはそれほどでもないが、資金難からクラウドファンディングで寄付を募る某党がニュースになっている。惜敗した仲間の支援に使うだの、いやいや本当の目的は別のところにあるだの・・・。その返礼がまた笑わせてくれる。代表直筆の色紙?(失笑)、国会議員に直接電話ができる権利?(冷笑)。

 真偽のほどは計りかねるが、小市民からすればそんなことはどうでもいい話で、要はそのセンスの無さを大衆のマジョリティは冷ややかに眺めているだけのことだ。我々は政治学者ではない。なので、複雑な背景や構造について言葉を使って説明できないとしても、その怪しさは直観的に感じるというものだ。かつて、政治資金パーティーの禁止や企業団体献金廃止を高らかに謳っていたその口で、自分たちがクラファンとは。これをブーメランと言わずしてなんと言おうか。

 「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」。1955年、当時の自由党と日本民主党の保守合同を画策し、自由民主党の結党に導いた政治家・大野伴睦(1890~1964)の名言だ。この御仁、大事を成した人にありちで、批判も多いことは百も承知だが、僭越ながら敢えてこの言葉を引用し「ただの人」になった皆さんに同じ目線で申し上げたい。

 国民は職を失えばハローワークに行ったり、人の伝手を頼ったり、あるいは起業したりして仕事を探し、苦しいときも、あるいは病めるときも頑張って働いているのです。最低賃金で生活が立ち行かず、ダブルワーク、トリプルワークをしている人たちも、みんな生きるために必死で働いているのですよ。