論 考

疑うことが価値観の懲りない面々

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 ロイターによると、ロシアの保守強硬派がプーチンの「盟友・トランプ」に対する疑惑を主張し始めた。きっかけはイラン攻撃だ。

 プーチンに近い政治学者シドロフらの主張を要約すると、いま、トランプはウクライナ戦争の仲介で、プーチンとはいい関係にみえるが、彼の狙いは、ロシアを弱体化させることにある。なぜなら、トランプは、ベネズエラのマドゥロを暴力的に誘拐拉致し、キューバに圧力をかけ続け、イランに戦争を仕掛けた。ロシアの盟友を次々に攻撃している。いわば、ロシアの外堀を埋めている。イランが屈服すれば、次はロシアがトランプの標的だ。

 トランプは欧州もロシアも弱体化させた。イラン戦争で、原油が高騰すれば、ロシア原油の採算性が上昇して経済的に改善されるが、それは一時的で、本格的にロシアを叩き始める。

 そもそもトランプは狂気の怪物だ。法律を守らず好き放題やるが、誰も制止しないから、狂気に拍車がかかっている。非常に危険な人物だ。最初はMAGA派だったが、いまやネオコンと密着している。彼らの狙いは覇権を確保することにある。

 それなりに組み立てられた理屈である。なるほど、トランプは力こそすべてだと公言してはばからないから、仮に、今ハネムーンであっても、明日はどうなるかわからない。興味を引くのは、トランプの狂気を強調している。つまりは信用できないと見ている。

 実際、トランプのやり方は(実は、プーチンも同じ穴のムジナなのだが)、ギャングと同じである。紳士面して、立派そうなことをしゃべるかと思えば、その流れに乗せて平然と真実でない発言を押し通す。ギャングとして見れば、トランプもプーチンも行動様式がよくわかる。強い相手とは友好的に振舞うが、隙あらばと狙っている。プーチンに近い連中が鋭い分析をするのは、裏返せばそのままプーチンのやり方である。

 力信奉と当時に、彼らに共通するのは、絶対に他人を信頼しないことだ。だから、常に取り巻きには阿諛追従と忠犬ぶりを求める。このいずれかに瑕疵があればただちに排斥する手際のよさである。

 つまり他人に対しては、徹底して忠誠恭順を求めるが、自分にはきわめて寛容である。米国にしてもロシアにしても圧倒的に大きな武力を確保しつつ、他国の自衛については猜疑心のみ作用する。

 武力は巨大であっても、他者(他国)を猜疑心でしか見られないような小心者が世界のリーダーたる資格を持たないのは疑いない。彼らは理想のかけらも持たない。かつて、国連を提唱したのはルーズベルトの米国だった。世界人権宣言をまとめたのは、彼の夫人である。トランプは、その国連を破壊し、KKK並みに人権を踏みにじる。猜疑心が人格を構成している人物は退場させるしかない。

 日本政府が圧倒的力関係において弱体だということは誰でも知っている。しかし、積極的にギャングの子分として忠誠を果たすような恥ずかしい真似だけは止めねばならない。それがまともな人間のとるべき態度である。